「塔を行く者」は元々、最初から自主流通本として販売する作品でした。
これからの出版不況の過酷さを考えると、小説家も手売りで本を売ることに対応していかなければならない、ということで最初はファンタジーがやりたい、ということで決めた物です。
「函国」のアイディアは知人から貰いました。最初は「高層ビルの中に国がある」ということでえらく小さい物を考えて、回廊で繋がっている、という設定を考えていましたが、やがて数百万人が暮らせる四方ガラス張りの、四階か五階建ての四角いスペースコロニーが広大な草原の地面にぽつん、ぽつんと刺さっているようなイメージが出来、そこに「ファンタジーでハッカーをやるとしたらどうなるか」という話をはめ込んでいきました。