神野オキナ「イコライザー!」全三冊が合本になってお安くなりました!


今から二年前、ダッシュエックス文庫さんから「イコライザー!」というシリーズを出しました。

テーマは「スピーディに、馬鹿馬鹿しく壮大なお話を繰り広げて、アクションとコメディをめいっぱい詰め込む」。
そんなわけで時間と空間を行き来出来る、ドーナツ好きの残念美少女、パーシィとフツーの少年(もっとも後半そうではなくなりますが)タグル君のコンビで、幕末に行ったり、学校の体育館でスク水少女そっくりなエイリアンと戦ったり、人類をすべてバニーガールに改造しようとする天才少年から世界を救ったり、かと思えば幕末で死んだ筈の芹沢鴨とチャンバラしたりという、ある意味「あそびにいくヨ!」よりも脳天気でハチャメチャなお話をやりました。
全3巻ですからそれなりのお値段がしたんですが、最近になって合本になりまして、800円分ほど値下がりしたお求めやすいお値段となりました。

連作短篇となっているので読みやすいですし、お値段も手ゴロ、寒い時期にぽけっと読んでみて「馬鹿だなー」と笑ってくだされば幸いです。

で、もしもそれをご覧になられたら是非、この作品もご覧になって頂けると嬉しいです。

ドクター・フー
http://www.hulu.jp/doctor-who

私が何を目指してこの作品を描いたのか分かると思いますんで。

ガガガ文庫「EXMOD:思春期ノ能力者」発売です!

本日よりガガガ文庫さんから「EXMOD:思春期ノ能力者」が発売になります。

小学館さんのサイトから、冒頭見開き12枚分(24P)が立ち読み出来ます。
下の「こぞう」さん描く表紙絵をクリックするとそこへ飛びます。

また近いうちにpixivノベルさんでも立ち読みが出来る様になるそうです。
こちらも確定しましたらご報告します。

立ち読みされて、お気に召しましたら是非お買い上げを!
何分最初の一週間が要なので!

電子書籍版「エルフでビキニでマシンガン!」発売記念掌編・その1

 

エルフでビキニでマシンガン!外伝「若き女王の旅立ち」前編

国中の男子が全て死ぬという「大呪詛」から数年、王と男の王族亡き後、小さな国の独立を外交手腕でなんとか守りぬいたテ=キサスの女王が病に倒れ、あっという間に亡くなられて半年、王女……いや、戴冠式をつい二ヶ月前に終えたのでもはや女王と呼ぶべきか……の姿はこの一週間、王宮からも、バルコニーからも見られなくなった。

彼女はどこにいるのか。

地下にいた。

この国の王宮の歴史は長い。保存魔法のお陰もあって建物自体が千年。その下に広がる空間は数千年の長きにわたって保存されているという。
その一室に彼女は閉じこもっていた。

この国には男子がもういない。

それはこの剣と魔法が支配する世界において、「滅び」の道を真っ直ぐに歩き始めたということに他ならない。
幸い、その後生まれた赤ん坊たちは四歳になる今まで死ぬことも無く育っている。
これはこの国にかけられた呪詛の影響が消えたのか、それとも……という話があったが、昨日、この呪詛の効果範囲の外にいたドワーフの男が、宿屋の女将と「深い仲」になるまでは存命だったことから「変質」したということは分かっている。
だとしたら、数年もしないうちに呪詛そのものが消え去るかも知れない。
若き女王は焦燥を微笑みに押し隠し、大呪詛がこの地にもたらされてからずっと打つ手を城の図書館と古老たちの話の中に求めた。
この年若いエルフの少女が賢明だったのは「過去」のみならず「現在」にも目を向けていたということだ。
あくまでも「過去」の伝説や秘宝は、国民の心を安んじさせる手助けになるだろう、と考えたのである。
彼女はそうやって過去の伝説や記録に「救い」を求めながら、同時に外交政策をテキパキとこなし、「男の居なくなったこの国」に対する諸外国の「保護」という名の支配をなんとか避けてきた。
それが変わったのは十日前。王宮の地下に収蔵された品の目録と、図書室にある書物の一文が一致したからである。
「異世界門」
この世界ではない、どこか別の世界に人を送り出し、この世界で三日。別の世界では半年の間そこに居る事ができるうえ、その世界の物を結界をおいた範囲内で持ち帰れる、というものだ。
嘘か誠か、これまで二回、この王国の危機を彼女の先祖はこの門を通じて入手したもので救ったと書物には記録されていた。
ひとつは空を飛ぶ翼。
もうひとつは地上を恐ろしい速さで、馬なしで疾走し、鎧すら貫く魔法の矢をはじき返し、古竜すら撃ち倒す火球を魔法なしで発射する馬車。
どれも王国の危機を逆転させ、その後に壊れて(あるいは壊されて)廃棄されたという。
信じがたいが事実だろう、と今現在、若き女王は考えてる。
なぜなら、今目の前にその宝物があるからだ。
発見したのは四日前。
その巨大な門に彼女が手を触れると、全て精緻に加工された金属の組み合わせで出来たものが青白く輝き、滑らかな女性の声で何事かを告げた。
言葉の意味が判らず、彼女が翻訳魔法を自分にかけると、やがて言葉の意味が判った。
「ようこそ我が主、このシステムゲートへようこそ。移動先は現在運任せ(アト・ランダム)の状態です。移動先を選びますか?……繰り返します」
と、あとは同じことを繰り返した。
彼女は息を呑むほどに驚いた。
エルフの女王たるもの、魔法の扱いはしっているし、彼女自身も魔法を使える。
だから断言出来る。
この門は魔法で作動していない。

(続く)

Kindle版発売中!

「エルフでビキニでマシンガン!」制作資料のお話

幸いにも、「エルフでビキニでマシンガン!」皆様に好評を持って迎えられているようで、Twitterなどでも「買いました」報告やご感想などが来ていてとても有り難く、嬉しいです。

ありがとうございます。

「エルフでビキニでマシンガン!」は阿呆な話をどこまで真面目にバックグラウンドを構築して、どれだけ馬鹿なものをその上にてんこ盛りできるか、というのが非常に大事なものだと思いました。
で、もうひとつ大事なのは「この世界には美男美女(あるいは渋いオッちゃんと妖艶な美女)しかいない」というところをどう徹底させるか、ということでありました。
特に種族で言えば「ドワーフ」は長年「ひげが生えるのが普通」とか「男女の区別が付かないぐらい厳つい顔と姿」とかいう設定がまかり通ってて、「それは違うだろ」とずーっと思ってました(数少ない例外としてグループSNE版のハイパートンネル&トロールズにて北沢慶先生が設定した「ドワーフの細工師が多種族から見ても見事な女神像を作るのは彼らの女性が他の種族同様に美しいからであり、ドワーフは同族の女性を守る為に髭などを着けさせてそのことを隠している、というものぐらいでしょうか)。
ですので、bobさんにもそのことが伝わるよう、そして「先輩」が憧れる「勇者の戦装束」や、普段耳慣れない衣装「チャップス」がどういう物なのか、そして一転して露出の少ない彼女の普段着や彼女の「引き締まってるけど筋骨隆々ではないプロポーション」などを伝えるためアホみたいにwebで拾った資料をお送りしました。
その一部がこれです。
%e3%82%a8%e3%83%ab%e3%83%95%e3%81%a7%e3%83%93%e3%82%ad%e3%83%8b%e3%81%a7

 

 

 

こんな資料を大量に送り付けられたbob先生も大変だったと思いますが、その甲斐はあったということは、すでに本を手に取られた方はご存知の筈です。

bob先生、ありがとうございました。

というわけですので皆様どうぞ「エルフでビキニでマシンガン!」お買い上げの程を!

「エルフでビキニでマシンガン!」発売中です!

そういうわけで、新作「エルフでビキニでマシンガン!」
ついに書店で発売開始です。地方は多少遅れますがもう少しお待ちください!
そんなわけで恒例のPVを作りました!
まだお買い上げ間だの方は是非! なお電子書籍版は来月の配信開始となります!もう少しだけお待ちください!

 

「エルフでビキニでマシンガン!」試し読みできます!

お疲れ様です、いよいよ今週末から発売が始まります新作「エルフでビキニでマシンガン!」の試し読みが、MFさんのページで出来る様になりました。

この文字をクリックして頂ければリンクに飛びます!

早い所では23日金曜日からの発売ですので、どうぞよろしくお願いいたします!

「エルフでビキニでマシンガン!」表紙公開!

そういうわけで正式に「エルフでビキニでマシンガン!」が公開されました!

CrlG76KVYAELymA

 

 

 

 

 

 

とまあこのようにbobさんの素晴らしい絵で、トコトンまでの馬鹿な素材を使った贅沢極まる表紙となっております。
ちなみにこれまでフィギュアを使って再現していた奴と比べてみましょう。

image

 

 

 

 

 

 

ね? やっぱり本物のほうが比べものにならないレベルですばらしいでしょう?

お話は天涯孤独の身の上になった主人公が、放課後にしか何故か会えない「先輩」の武器密輸に関わったところ、何故か流れ流れて異世界テ=キサスへ。
そしてそこで自ら武器を取って戦うことになるんですが、その世界では女性が男性と同じ様に戦う為に「ビキニ」を身につけると神のご加護が得られるといううルールがあって……という頭の悪いお話です。
明るく楽しく脳天気に、ということで頑張っております、どうぞお楽しみにー!

今月は電子書籍で「リラム~密偵の無輪者~」が発売です!

お疲れ様です。
沖縄では明日から旧暦でお盆をするんでドタバタしておりますが、関東ではコミケが開かれていて、このホームページをご覧になってる方の中には参加為されている方も多いと思います。どうか無事にお戻りになられますように。

で、先月紙の本が発売された「リラム~密偵の無輪者~」ですが、今日からKindleなどの電子書籍版が発売となります。

というわけで、Amazonにおける本のソムリエ、「きんどるどうでしょう」さんのサイトに販促話を書かせて頂きました。

『疾走れ、撃て!』神野オキナ最新作はファンタジー世界のスパイ物 「リラム〜密偵の無輪者〜」

すみません、書いていて日和りました(汗)。
電子書籍の未来について、かなりあやふやな、どっちとも取れる発言にしています……ただ、電子書籍と本は違うジャンルの「読み物の媒体」としてこれから併走していくのではないかと思います。

リラム~密偵の無輪者~発売記念短篇「北方の訪問者」その7(完結)

image

 

 

 

 

 

 

「ああでも素晴らしいよ、こんなに心が浮き立つのは生まれて初めてだ! きっと世の中にはもっと楽しいことが一杯あるんだろうなあ。お前は世の中を旅しているのか?」
不意にレイロウに言われ、「なにか」は少し首を傾げた。
「そでしね」と立て札が掲げられる「しょうしょうならよのなかをみておりまし」と。
「広いだろうな、世界は」
少年は遠い目をした。
「僕はヒウモトの小さな城下町の娼館で育った。小さいけど、温かくて、優しい場所だった…………でも七歳の時に、お前は将位主の息子のひとりだと言われてそこを後にした……あとで訊いたら、その年の冬に火事を出して焼け落ちたってさ……そこを出ていらい、あちこちを流れてきたけど、『遠い』と感じても『広い』と思ったことは滅多にない。
だが、この北方辺境まで来てようやくそう思った……そしたら、彼女に出会った」
どうやら少年は本当にその「北方辺境の魔女」に心を奪われたらしい。
それからは酔っ払いの常で、レイロウの言葉はぐるぐると同じ言葉にたどり着く。
「僕は彼女に惚れた」
「絶対に彼女を僕の伴侶にする」
「そのためにはどんな手段だって使う」
「彼女を僕のものにできるなら、彼女に生涯恨まれても構わない」
この言葉が10分から数分で繰り返される。
これが成人男子であれば、その美しさも相まって空恐ろしい意味になるのだが、僅か14歳の少年が酒精の力を借りて満面笑みを浮かべてコロコロと笑いながら言うのだから、微笑ましいと言えば微笑ましい。
だが、「なにか」は「しゅだんわえらばねばだめでしよ」とか「うらみつらみにあいはないでしよ」とか言わないでもよいような言葉を立て札に書いて掲げる。
これもまた、言葉が発せられていたら一騒動になったかもしれないが、ぐでんぐでんの酔っ払いが文字の読めるはずがない。
そんなわけで、少年は自分の生まれて初めての恋心をのろけ、「なにか」はひたすらそれをたしなめて正しい形の情愛を薦めるという、なんとも微笑ましいままの状況が続き、ついに少年の体力が酒精に負けた。
「とにかく、かのじょは……きれ……」
い、と言い終える前に敷物の上に突っ伏して少年は寝息を立て始めた。
すでに大の男でも半分飲み干せば倒れるといわれた火酒の瓶は、3本も空になっている
「なにか」はしばらく首を傾げて少年の姿を見ていたが、やがて立ち上がり、とことこと部屋の中を歩いて、最初にかけてやった毛布を少年の身体にしっかりとかぶせ、さらにすでにパリパリに乾いた汗ふきを、土間にある井戸(これは高位者用宿泊施設ならではの贅沢であった)から汲んだ水で濡らし、暖炉の鍋にも水を満たして火にかけると、暖炉の薪を奇妙な形に組み上げた。
不思議な形に組み上げた薪は燃える側から崩れ、朝までこの暖炉の火を絶やさないように、しかし燃えすぎないように自然に炎の中に倒れ込む。
「なにか」は再び頭からすっぽりとぼろ布を纏うと部屋の周囲をゆっくりと見回した。
ややあって、少年が寝ている広間の奥に何か気配を感知して「なにか」はトコトコとと歩いていった。
最初にレイロウが「なにか」を見つけた場所。
その机の上に、小さな「歪み」ができている。
ある角度から見たときだけ、その周辺だけ風景がぐにゃりと歪んで見えるのだ。
「なにか」は、恐れることもなく、椅子のうえに「よっこいしょ」とのぼり、壁越しにレイロウの方をみやってぺこりと頭を下げると、ひょいとその「歪み」の中心へ飛びこんだ。
「なにか」のまとったぼろ布の裾から覗いていた尻尾の先までその「歪み」の中に、まるで水の中に入るようにつるりと飲み込まれると、「歪み」は消えた。
後にはレイロウのみが残され、寝息を立てている

レイロウが目を醒ますのはこの日の夕暮れ、酷い二日酔いに三日間悩まされ、また家臣の中でも一番の忠義物のタグロという青年から「若にお酒は早すぎます」というお小言も頂戴し続けた。

以後彼は決して一日二杯以上の酒を飲まず、それはのちにヒウモトの最大の権威である皇位主の暗殺を計画したとして国を追われて転がり込んだ、火酒の国、ロキオルスにおいても変わらなかった。

「何しろ、変な物とずっと会話してたんだ」

数年後、二十歳をとうに越えたレイロウは彼の傍らにいることになった「北方辺境の魔女」こと、リンザに言った。
「赤ん坊のような、丸い目だけで鼻も口も無い、でも妙に愛嬌のあるそうだな……子供のおもちゃみたいなのと。だから酒はやっぱり過ぎれば毒だと思う」
と。
彼は生涯、自分が見たものを「酒精の見せた幻」だと信じて疑わなかった。

 

さて、あの時「歪み」の中に飛びこんだ「なにか」はといえば……


飛びこんだ瞬間、「なにか」はどたばたと今度は金属で出来た廊下の上に転がり込んだ。
きょろきょろと周囲を見回す。
「なにか」のセンサーは周囲を見回し、ここが彼の目指すべき場所と、また違ったことに気がついて落胆した。
ここは宇宙船、あるいはそれに似た乗り物の中であり、動力源は「なにか」のいるべき場所には存在し得ないとされる物質だったからである。
通路の上に腰を下ろし、短い足を投げ出して、溜息をつくようにうなだれる「なにか」の上に影が差した。
慌てて「なにか」はぼろ布で頭を覆う。
甲高いセンサーの音がして、青い光が彼を照らし出した。
「ほう、アシストロイドの客とは珍しい。キャーティアはとっくに滅んだと思っていたが……いや、君は多次元宇宙からきたのか?」
「なにか」は顔をあげてその人物を見た。
背の高い、片眼鏡をかけ、唾の大きな帽子をかぶって身体にぴっちりしたコートを身に纏った少女だ。
「ということは迷い人だな?…………随分たくさんの世界を回ってきたのだね。元の世界の番号が読み取れないぞ…………? まあ、よかろう」
少女は立ち上がると腰に手をあててふんぞり返った。
「この『ロスティニア』は君を歓迎する。君の次元番号が判るまでここにいるがいい」
そう言って、少女は微笑んだ。
「ちょうどこの船は乗員がいないのでな、たまに修理とかも手伝ってくれると嬉しい。ついでに言えばドーナッツが作れるともっと有り難い」
こっくりと「なにか」はうなずいたが「しかし、わりらはほんらいのあるじにおつかえするもの、どうかあしすとろいどのなまえでよぶのはごかんべんを」と立て札…………プラカードを掲げて頼むと、少女は頷いた。
「ではそうだな、修理もしてくれるというのであれば『をやかた』というのはどうだろう? そうそう、名乗るのが遅れた、私の名はパーシィ。見ての通りの時空調停者だ」
そういって少女は満面の笑みを浮かべて「なにか」あらため「をやかた」の手を取って握手した。

 

「北方の訪問者」おしまい