そういうわけで7月に新刊が出ます

タイトルも正式に「リラム~密偵の無輪者~」というものになりました。

神も魔法も去った(でも魔法のような技術は残る)世界で、かつてのサムライの国の第三王子が、謀略諜報戦争を繰り広げるというお話。

Amazonではこちらで予約が出来ます

表紙絵は西E田さん、下にキャララフが小さく載っておりますが、今から期待大の良い本になりそうです!

「あそびにいくヨ!」ができるまで

「シュレイオー」という作品は「初めて自分にとって等身大の沖縄を描いた」というのともう一つ「実験」をしております。
それは「クール型、姐御型じゃ無いぽやーっとした女の子を描く」ということ。
それがあの中に出てくる虎鈴というキャラクター。「疾走れ、撃て!」にも同名のキャラがいますが、こちらは虎人間で、脳天気で特撮オタクというキャラクターでした。
背が高くて、お人好しでのんびりしていて、という「いい娘」。
このキャラのモデルは広江礼威先生の漫画「SHOCK UP!」の後半に出てくるヘルメスというキャラクターでした。
幸い、このキャラクターは好評で「こういうのも俺書けるのか」と少し自信ができました。

シリアス半分、コメディ半分のシュレイオーは続きを書きたかったんですが諸事情合って中断、そしてとある人の仲立ちで創刊して間も無いMF文庫Jに飛びこむことになりました。

で、私にしてはもっともシリアスで閉塞感満載の作品「シックス・ボルト」と格闘し、3冊まで出版したものの、1巻が再版されたのみでシリーズは打ち切り、レーベルからもお仕事の話が途絶えてへとへとになった私は、『今度は脳天気なコメディがいいなあ」と思うようになっていました。

さて当時CSでようやく「通し」で「地球の止する日(1958年)」を見て、今のアメリカ映画と違い「異星人という存在に脅えたあまり道を誤ろうとするアメリカとそれを受け容れてしまうぐらい懐が深い宇宙人」を見、最近テレビドラマにもなった「地球幼年期の終わり(今は『幼年期の終わり』のタイトルで新訳本が出てます)」や他の「善意ある宇宙人とそれを信じられない地球人」という作品を色々思い出し、「とても信じられない姿の異星人がやって来て、殆どの地球人が『罠だ!』と脅える話はどうだろう」と考えたとき、「一番『人を馬鹿にしている!』という姿はなにか?」ということでふと思い出したのがいちか(当時は井草という名前でしたが)のモデル、「戦え!イクサー1」でした。
アレは原作ではちゃんとネコミミなんですが、アニメ版ではエルフ耳、とでもいうような奇妙な耳になってまして……で、他にも原作のほうが「おバカキャラ」なんですよね。
で、アニメ版は生真面目で優しい「いい娘」で……いや話が脱線しました。
そしてSF小説「降伏の儀式」の中でお手上げ状態になった政府機関が、SFファンをよってたかって集めて侵略異星人対策をさせる、という話があると知り、彼らでさえ「こんなんいるかー!」と怒るようなものが来たら? と考えると、一番怒られるのは「日本語を喋る、ネコミミ尻尾の宇宙人」だろう、と。
ではそんな「ネコミミ宇宙人」が東京でもワシントンでもモスクワでも無く、極東最大の軍事基地の沖縄にやって来て「お友達になりましょう」と言った場合人類は信じてくれるかしら、というあたりで、ドタバタコメディに出来るだろう、とぼんやり当たりをつけたわけです。

で、思いっきり単純なタイトルがよかろう、ということで「あそびにイクよ?」というエッチにも触れそうなタイトルが同時に出てきました(これはさすがに編集部に修正されました。英断だったと思います(笑))。

その時のプロットでは騎央君はもっと真面目な苦労人で、ネコミミ宇宙人はまだアヤメという、井草の妹としてシュレイオーに出てきた奴を若返らせたキャラを想定していました。
その時作ったプロットがこちら。

プロトタイプ「あそびにいくヨ!」|神野オキナ・雑文集|note(ノート) 
タイトルのおかげか、あっさり編集会議は満場一致でこの作品を通してくれたのはリンク先にあるとおり。
ところが執筆をし始めたら頭の中でキャラが動いてくれない。
小柄で悪戯っぽくって頭が良くニシャニシャ笑うようなキャラだと、このプロットの中ではすごく意地悪に見える……で、かくしてアヤメは降板となり、虎鈴の性格と「サクラ大戦3」のヒロイン、エリカのステージ衣装と外観をくっつけてしまえば……と言うことでエリスが生まれました。
アニメ化のお陰で忘れている人も多いんですが、実はエリスの髪の毛は赤で、前髪にメッシュで金が入っているという二毛猫だったわけです。
それでもお話は難航し、夜中に作家仲間の榊一郎さんに、思い悩んで「このキャラクターを小柄な美少年キャラにして、戦闘無口系ヒロイン、双葉アオイを巨乳にしてメインヒロインに昇格させてしまえば、と思うんですけれどもどうでしょう」と相談したりもしましたが、榊さんは賢明にも「それは止めた方が良いです」と諭してくれました。
かくて、騎央君は「全てにおいて主役級の能力がないことから、万事に一歩引いて物事を見られる」という隠し特殊能力持ちとなり、アオイの胸は増量されず、真奈美は幼なじみだけど親友、というポジションに納まりました。
そして唸っているウチに昔見た映画、「スターファイター」という小品の中に出てきた主人公たちの近所の人たちが脳裏に浮かんできました。
映画の内容は省きますが、トレーラーハウスに住んでいる、いわゆる「プア・トラッシュ」と呼ばれるような階層の人たちはみんな脳天気に優しくて、最後、宇宙人達に懇願されて一緒に旅立つ主人公を見送るわけです。
ああいう感じのご近所さんならどうだろう。
で、もうひとつ要素が。
母方の大叔父や祖父が生きていた頃、沖縄独自の亀甲墓で、キャンプをしてました(いやそれぐらい広くて山の中にあったんです)。時には年越しキャンプをそこでやってたほどです。だから「シュレイオー」ではセイフ・ハウスとして亀甲墓を使ったわけですが、これを「脳天気の象徴」として出そう、ということで、あのオープニングになりました。
アニメでは違う場所を使いましたが、当時のイメージでは那覇空港近くのTSUTAYA裏手にある大きな亀甲墓がモデルになっています。
小さな家が一軒丸ごと入りそうな前庭部分がありまして、そこに親族一同ひしめいていたらいつの間にかよその人間が混じってて、異星人でも大体似てて、言葉が通じるなら文句ないよね、とやっているのをポカンと見ている主人公、という暢気な場面が出来たところでようやく、この小説は動き出したと言って良いと思います。
「シュレイオー」では「市街地被害を少なくするために」嘉手納基地での巨大ロボの大乱闘を行いましたが、「あそびにいくヨ!」1作目では嘉手納基地の中に潜り込み、ヒロインを奪還するというリアルに近いドンパチをすることになりました(そのほうが異星人の超技術でオチをつけるときに圧倒的な印象を読んでいる人たちに与えられるためです)。

そして、放電映像さんがホイホイさんもガレージキットも知らなかったことからアシストロイドという傑作デザインのキャラが生まれ、全てが揃って13年近い物語の旅が始まるわけですが、当初はそんなことを思いもしませんでした(笑)
兎に角終わった、妙に楽しい物が出来た、少なくとも「新しいこと」が出来た、という満足感で、一週間もしないうちに電話が鳴って「重版です」と言われたとき、むしろポカンとしていたのを覚えています。

沖縄を舞台にすること

私の今の名義の沖縄を舞台にした小説は南国戦隊シュレイオー3冊、そしてMF文庫Jで20巻プラス外伝4巻出していただいたあそびにいくヨ! およびHJ文庫で出して貰った「うらにわのかみさま」シリーズ全4巻があるわけですが、一番最初は?というと実はシュレイオーではありません。

シュレイオーは2000年ですがその数年前にクラック・ウィングという作品を別名義で書きました。

crackwing

 

 

 

 

場所は今は無き小学館SQ文庫。

当時スポーンのフィギュアブームの熱気冷めやらぬ時期、さらに最初のX-menの映画がヒットした所でアメコミブーム来るか?ということで小学館が特に力を入れてた頃です。
ですからこの作品も日本に超能力犯罪者が増え、団結してテクノマフィアと呼ばれるような組織に也、それに対抗すべく司法側も特殊組織(セクションDと呼ばれ、所属する能力者はクライムファイターと呼ばれてました)が作られたりで日々戦いを繰り広げているという設定でした。

ヒロインは「鬼」の血を引く少女、主人公は彼女によって押収された品物の中に眠っていた人間型魔法兵器……そして彼を追うその「妹」は後に「疾走れ、撃て!」の虎紅の最初のイメージになります(上にあげた表紙の左側の少女がそれです。ちなみにこのキャラクターはイラストを手がけていただいた赤坂さんの同人誌に出てきたキャラクターをお願いして外見を使わせてもらった物です)。

冒頭はいまやおもろまちと呼ばれるようになった当時の天久返還地(当時は米軍住宅密集地を取り壊し、土壌洗浄して原っぱをフェンスで囲んでいるだけでした)。そこに特殊な危険物保管庫があって……とか色々やってたんですが(ちなみにこの作品にもいちかのパラレル存在が出ていて、彼女は二叉尻尾の「化け猫」でした)。

ただ、この中での沖縄はまだ、映画で言えばロケではなく、作り物のセットをそう称していたようなもので、地名と位置関係だけが使われている程度。

私自身、どうやって「沖縄」という地元を切り取れば良いのか、ずっと戸惑っておりました。
沖縄という地元に住んでいるとそこが単なる田舎だという側面はどうしても切り離せず、他の人たち――――例えば上條敦士先生の「SEX」とか映画の「南へ走れ!海の道を!」みたいに、「格好良い沖縄」がどうしても小っ恥ずかしかった。

キッカケになったのは2000年に行われた沖縄コミケ(コミケットSP)です。

今のところ唯一、下手をすると最初で最後の「海を渡った最南端コミケ」はそれまでお会い出来なかった人たちと会い、じっくり話し合う機会を得る最大のイベントでした(個人的にはそれまで御電話でのみのお付き合いだった龍炎狼牙先生とお会い出来たのが大きかったです)。
そこでつたないおもてなしをしながら、ようやく私は沖縄以外の人たちが沖縄の何を楽しみ、面白がるかを理解したのです。

公設市場で日本を代表する怪獣イラストレーター・開田裕治先生と小説家のあや先生ご夫妻、官能小説の大家、睦月影郎先生や当時飛ぶ鳥を落とす勢いだった雑学ライターの唐沢俊一さんとお話をしながら、ようやく自分のキャラクター達が那覇の街を歩き出すイメージを得ました。

格好良くなくて良いんだ。いつも自分が見ているところに知ってるところに当てはめてしまえば良いんだと。

そこで生まれたのが南国戦隊シュレイオーです。

発売は神野名義の2作目ですから、もう16年前になります。
あの中に描かれている那覇の街の風景やおかしなギミック(市場商店街のドアが全部繋がっていて裏道になっている)などは当時でさえ古い記憶でした。今となってはまるっきり違います。
あの頃店番をしていたお祖母ちゃん達は皆姿を消し、若い人や本土から来た人たちなど新しい顔が新しい商売をしていますし、1巻のラストで主人公達と井草(いちかのパラレル存在)が食事をしていた第一公設市場は近々建て直しということで取り壊しが決まりそうです。

「沖縄」を描くことが出来たあと、こんどはもう一つの要素「戦争」を描くキッカケになり、人生初の再版の報告を聞く「シックス・ボルト」がこの半年後ぐらいに控えておりますが、それはまた次の機会に。

てなわけで!

朝日ソノラマ時代に出した読み切り作品が復刊されることになりました!
ファンタジー世界で故郷を滅ぼされた戦士の一族「サムライ」が生体パワードスーツを駆って異星生物と闘うというお話です!

表紙絵はソノラマ時代と同じく龍炎狼牙先生です!

どうぞよろしくお願いいたします!

 

次のお仕事予定

今朝、MF文庫J用の新作「エルフでビキニでマシンガン!(仮)」の原稿を仕上げて編集部にお送りしました。

ネット時代様々でありますね。デビューしたての頃(94年)はまだフロッピーディスクで、それを宅配で送っておりました。神野名義のデビューのころはさすがにwebのテキストデータでしたが。
今回はジャンルも文体も、ちょっと今までにない仕掛けの話なので、どうなるかと最初は不安でしたが、面白い物が出来上がったと思います。

さて、作品の内容はといいますと、ファンタジー世界でビキニを着けたエルフやドワーフ(ウチのドワーフ女性には髭は無いです)および人間(私の世界ではヒト族と呼びますが)が、密輸した最新式のSMGやアサルトライフルをぶっ放してヒーハーするお話であります。

どうぞお楽しみに(笑)。

発売時期など詳しい事が決定しましたら逐次ご報告しますのでお楽しみに。
またマイナビの楽ノベレーベルさんで「シュレイオー」の続編「ダマスカス・ハート」上下巻と「星魔の砦」が電子書籍で復刊します。
「ダマスカス・ハート」は上下巻共に田沼雄一郎先生の表紙絵、「星魔の砦」はソノラマ版と同じく、龍炎狼牙先生が描き降ろしでジャケットを描いていただくという豪華仕様でございます。
こちらも詳しい事が分かり次第お知らせします。ではまた。