現在、当サイトにある番外編小説一覧

一足遅いプレゼントということで、「エルフでビキニでクリスマス!」を再掲しましたが、当サイトにはこれまで発表してきた小説の外伝や落書きなどがいくつかありますので、そのリンクを下に張っておきます。いずれもそんなに長い話ではないので、今年新たに神野オキナ作品を手に取った方は「オマケ」をお楽しみ下さい。

「リラム~密偵の無輪者~」関連

「エルフでビキニでマシンガン!」外伝「魔法使いの憂鬱」

「エルフでビキニでマシンガン!」外伝「若き女王の旅立ち」

「エルフでビキニでマシンガン!」外伝「鬼神キリノ御年七歳」

「EXMOD~思春期ノ能力者~」外伝「ある日の小日向家」

「EXMOD~黒ノ追撃者外伝」華社美月の風景」

 

番外「疾走れ、撃て!」資料公開

番外2「イコライザー!」没原稿公開

番外3「疾走れ、撃て!」落書き

また「note」にもいくつか番外編的なものを載せています。
いずれも無料公開ですのでお気軽に(ここにタイトルのないものの中には有料掲載のものありますが、外伝系ではありません)

note「アシストロイド写真漫画 ハロウィン2015」

note「アントニアの冒険」(現在未完)

note「プロトタイプ・あそびにいくヨ!」

note「アシストロイド写真コマ漫画その1」

エルフでビキニでマシンガン!外伝「エルフでビキニでクリスマス!」その5

夕方になってもますます祭りは盛況で、持ち寄った「燃やしても良い物を」をうずたかく積んだものに火が付けられるとますます盛り上がりはじめた。
「Thank you very much」をアレンジしたらしい陽気で、でも哀切溢れる音楽を流しの楽師たちが合奏し始めている。
子供たちも母親たちも、あるいは恋人たちも踊り出している。
振り付けも、完コピではないにせよ、あの映画によく似せていた。
双眼鏡でそれを眺めた俺は、自分の分のSCAR-Hを担いで学校砦の屋上に上った。
「しばらく交代しますよ。楽しんできて下さい」
屋上の監視役の人に声をかける。
「いえ、そんな銃使い様と後退だなんて女王陛下に叱られます」
「大丈夫、これは先輩……じゃなかった、女王陛下にも申請済みのことですから」
これは本当。
真夜中まで俺とキリノが入る事でふたり分常に警備シフトに空きが出来る様にしている。
ちなみに俺にはスレイプニール、キリノにはサブリナが相棒として付いているからかなり安心だ……人格に多少問題はあるが彼らは決して敵を見逃さないし、奇妙な事が起これば報告する。
ただ攻撃能力はないからそこを俺らがカバーするというのが実情。
もっとも、キリノはしっかりしてるので相棒は要らないと思うのだが当人たっての希望でサブリナがつく事になった(もっとも、キリノが自分の相方をサブリナにするかスレイプニールにするかで本気で一時間迷っていたのは秘密だ)。
新校舎の屋上を見ると、ワンピースのスクール水着にガンベルトを腰に、マフラーを首に巻いたキリノが立っているのが見える。
胸こそ先輩には劣るが、きゅっと持ち上がって引き締まったヒップの量感は全然負けてない……いやいや、何考えてるんだ俺。
あいつは一個下の妹みたいなもんだぞ?
そうそう、周囲のキリノを見る目がこのところ随分と変わった。
あの駄女神のご託宣のお陰でキリノはファッションリーダーになってしまったのだ。
そういう意味で思い切りが良かったのは先輩で、あの託宣の翌々日には、スクール水着を着けて演台に立った。
これで「女神も女王陛下も認めた衣装」となり「卑猥」という言葉は消え去った。
最初にこれを纏って女神の前に立った、ということで「銃使い」の後ろにいる不気味な少女という感じだったキリノは「女神も認める美的センスの少女」に格上げされたのだ。
戦士階級だけじゃなく、一般市民もキリノに向ける笑顔がいっそう暖かくなった。
オシャレな戦士、というのは何か不思議な気がするが、戦国時代には日本でもヨーロッパでもそういう存在がいたらしい。これは図書館で学んだことだが。
「さて、哨戒任務をはじめますかね、頼むぞスレイプニール」
「はい、あるじ様」
手すりの上にいつのまにかちょこねん、と腰を下ろし(馬なのに)、スレイプニールは渋い声で頷いた。


どれくらい、双眼鏡を覗き込んでいたのか。
気がつくと夜空になっていた。
「大丈夫ですか、後輩君?」
振り向くと、真っ赤なビキニ鎧にサンタ帽を被った先輩が白い袋を背負って立っていた。
肘まである長い白手袋、足下は真っ赤なエナメルのブーツ。
ちょっと違和感を感じた。先輩、朝は普通のブーツじゃなかったっけ?
「あ、先輩。もういいんですか?」
「ええ、予定通りにプレゼントも配り終えましたし」
にっこりと笑う。
「あとは君だけです」
「え?」
俺が首を傾げる前に、先輩は俺にぎゅっと抱きついてきた。
98のGはある胸が、布よりは分厚いが金属とは思えないしなやかさを持ったサブリナ謹製の鎧越しにむにゅりと潰れる。
水蜜桃、という言葉はジイちゃんが教えてくれたが、まさに先輩の胸はそれだった。
そして、骨を噛みそうなぐらい寒いのに、先輩の身体は防寒用のダウンジャケット(生徒会指導室で見つけた)越しにも暖かくて、柔らかい。
「あ、あの、せ先輩、ぷ、プレゼントって……」
「わ、た、し、です」
そう言うと先輩は俺の手を両手に包んで「はーっ」と息を吹きかけて暖めてくれた。
いや、ちょ、ちょっと待って、ちょっと待って。
「せ、せ、先輩? ちょ、ちょっと冗談が過ぎますよ」
「冗談ではありません、銃使い殿、そして後輩君」
しっとりと濡れた声で先輩は俺に囁いた。
「あなたへのクリスマスプレゼントは、私です」
「で、ででででもですね、あ、そうか、き、キスですよね? キス? こ、こまっちゃったなああははははは」
我ながら空虚な笑みが漏れた。
「いいえ、違います、私の全てを差しあげます――――夫婦の契りを結びましょう」
「いや、それ、し、死にますって!」
「大丈夫です」
そう言うと先輩は袋の中からキラキラ光る正方形のビニールパックを取りだした。
大きさは掌に載るぐらいだが広げるとそれが幾つも連なっている。
中心部はリング状に膨らみ…………いや、俺でもそれが何かは知ってる。
アメリカ軍のサバイバルパックには「飲料水確保用」として何故か入ってるゴム製品。
避妊具。コンドーム、ジイちゃんは「コンちゃん」とも呼んでいた。
「わたし、色々とあの大呪詛を研究したんですけれど、あの呪詛が発動するのは直接粘膜の接触が行われたときだと分かりました、つまりそれがなければ発動しません」
「え?」
「つまり、私たちの間を遮る一枚の膜状のものがあれば十分なんです。そして、この前、パソコンで調べていたら見つけました、この前生徒指導室で見つけたものの中にこういうものがあるってことを」
先輩の目は潤み、ちろりと舌が唇を舐め、ぽってりと輝かせる。
俺の目はその口元に、その向こう側に見える、はだけた胸元に集中した。
「これなら…………その、大丈夫だと思うんです」
「で、ででででも先輩」
「構いません、わたしは、あなたに恩があります」
「そ、その、先輩は俺のことをどう思って……」
「この状況で、理解出来ませんか?」
言って先輩は体重を俺自身に駆けた。
「いやあの、そ、それはそうですが……」
俺の膝は力を失い、ずるずると地面に座り込んだ。
「…………ね?」
先輩の前髪がはらりと額からひと房垂れて、俺の額に触れた。
気がつくとそれだけ顔が近づいている。
もう、色々な物が我慢できなくなっていた。
「せ、せんぱ……」

い、と言おうとした瞬間、肩を揺すって起こされた。

「寝るな、馬鹿」
目を開けるとスクール水着のキリノがいつの間にか屋上を囲むフェンスに背中を預けて眠ってた俺を揺さぶってるところだった。
「いやまさか、お、お前まで避妊……」
ぐ、と言いかけて、今のが夢で、こっちが現実で、当然「何もなかった」事に気づく。
「あ、俺寝てたのか?」
「出なければ起こしに来ない。そろそろ交代時間」
「な、何にも無かったか?」
「大丈夫ですあるじ様」
スレイプニールが受け合ってくれた。
「ご主人様が寝ていたのはほんの2分少々、その間この砦周辺、半径10キロ圏内に動体反応はありませんでした。なお現在の気温は摂氏マイナス7度、そろそろ雪が降ってきます」
「そっか……スマン」
言いながら俺は自分の股間が「暴発」してないか意識を集中させたが、手前の状況ではあってもそれはなく、安堵した。
キリノは鼻もいい。死んでも「暴発」の状況をかぎ当てて欲しくはなかった。
「あんた、疲れてる。ちゃんと寝た?」
「まあね、そこそこには」
どうして居眠りのほうがよく眠れたと思えるんだろう。そんなことを考えながら俺は答えたが、
「今の睡眠の質の話じゃないわ。普段寝てるか、ってこと」
「そういえばこのところドタバタしてたからなぁ」
「風邪引くわよ。あなたは私みたいな女と違ってビキニもワンピースもご加護を与えてくれないから」
「…………てことはその格好、寒くないのか?」
「あんまり」
「てことは少しは寒いのか」
「でも厚着してるのと変わらないぐらいには暖かい」
なるほど、駄女神でも霊験あらたかなのは変わらないのか。
「さあて、皆さんへプレゼントですよーっ!」
砦の外では、櫓に上がった女王陛下先輩が白い大きな袋の口を開いているところだった。
ということはもうすぐ十二時、宴も終わるということだ。
「さー、受け取って下さーい!」
いってばらばらとお菓子の入った小さな紙袋を投げる。
子供も大人たちもテンションが上がっているので歓声をあげてそれに手を伸ばした。
クリスマスプレゼントとしては首を傾げる配りかただが、城にも無尽蔵にプレゼントが眠ってるわけではない。
どうせなら楽しく、ということでこうなった。
さらに四方の兵士からもプレゼントの小袋が飛んだ。
30分ぐらい先輩たちはプレゼントをばらまき、12時の鐘が鳴ると、それは終わった。
「では皆さん、今年もありがとう、よりよい来年を迎えましょう! さようなら!」
櫓の上で先輩が声をはりあげ、宴は終わった。
興奮冷めやらぬまま、群衆は立ち去りがたくしばらくはそこにいたが、やがてかがり火が消されはじめると、家路につき始めた。
先輩たちも戻ってくる。
「さて、暖かいコーヒーでも淹れて、先輩たちを迎えようか」
「そうね」
交代する兵士達に「あとをよろしく」と頼み、俺たちは階段を降りた。
「なあキリノ」
「なに?」
「俺のことを『お前』とか『あんた』とか言うのはそろそろやめないか? 俺一応一歳だけだけどお前より年上だし、ここは出来たてだけど王宮の一種だしさ」
「じゃあなんて呼べばいい? お兄ちゃんとか、お兄様とか?」
「そういう意味じゃないよ」
「じゃあ、何て呼べばいいの?」
「そうだな……」
俺らはそんな会話をしながら、階段を降りていった。

何はともあれ、こうしてテ=キサス初のクリスマスは無事に終わった。

赤いビキニ鎧と、キリノのワンピース姿をを見た鍛冶屋のおかみさんたちが、何かを思いついてしなやかな金属の糸で作った真っ赤なハイレグワンピース鎧を「発明」してキリノに着てくれないかと持って来るのはこの一週間後の話である。

まあ、それはそれとして。
クリスマスのドタバタが終わってひと息ついた翌日。
さて溜まっていた書類を、ということでいつもより頑張った日の夜。
俺はキリノの部屋として当てられた生徒指導室で妙なものを見た。
氷柱の中に閉じ込められている白目を剥いた二頭身のカウガール。
もちろん二頭身のカウガールというのはサブリナのことだ。
「おい、なにやってるんだ?」
部屋の主のキリノに俺は尋ねた。

「エルフでビキニでマシンガン!」外伝「エルフでビキニでクリスマス!」終
「エルフでビキニでお正月!」に続く。

エルフでビキニでマシンガン!外伝「エルフでビキニでクリスマス!」その4

さて、封建主義社会の中では、うっかり「女王陛下が国民に感謝の意を」とかは口に出来ない……権力者は権威を保つこと「も」求められるからだ。
威張ることも、他人にやらせることも、封建社会の中では権力者にのみ許されるだけではなく、求められる一種の仕事なのである。
実際先輩はそういう意味ではかなり「変わり者」に入る上に、性格が優しいからそういう思いが強いのだが。
これはキリノにも厳命された。
「私たちがうっかり歴史の時計の針を進めるのはよくない」
と。
「それを決めるのは女王陛下先輩。私たちはあくまでもオブザーバー、いい?」
こういう場合のキリノの言葉は正しい。
だから従うことにした。
さて、そんなこんなで、先輩の護衛官であるアレルさんが率いるドッガ鳥の捕獲隊が戻ってきたのは大分冷え込みはじめ「三日以内に雪が降る」と皆が言い始めた翌日だ。
巨大な荷車を学校の裏に留めてあった武器商人たちのトラックで引っ張ってきた。
「丸ごと一羽というご所望でしたので、もっとも大きいものを持って参りました」
と誇らしげな顔でアレルさんが言うのも道理、それは巨大な鳥だった。
「もっとも、今が冬でなければ、保存魔法を使わないと腐ってしまうところですけれども」
前にも説明したけどこれ全長14メートル、体高だけでも7メートルもある。
荷車も車輪がかなり地面に沈み込んでいた。
そして30人ほどの人数が集められ、ドット鳥が入るほどの大穴を、学校砦の外に作った。
さて、そこからが大スペクタクルだ。
改めて大地母神に対しこの獲物に対する感謝の祈りを捧げる儀式をして、6人がかりのノコギリで頭部を落とすと、魔法使い数名で巨大な鳥を穴の上、空中に持ち上げた。
風の魔法で回転させながら羽根をむしる。
むしった羽はすぐに油分を抜く為にお湯に放り込まれ、浮いてきた脂をすくっては桶に貯める……これに灰汁を反応させて石鹸が作れる。
羽根は乾燥させて羽毛布団やダウンジャケットは勿論、尾羽の綺麗なものは高貴な人の為の羽根ペンになるそうだ。
さらに羽を抜いたあとの肉を10人がかりで棍棒で叩く。30分ほど叩いて肉を軟らかくする。
俺も参加させて貰ったが、鶏肉というイメージが変わるぐらい固く、張りのある肉が、最後に叩く頃にはぶよんぶよんになっていた。
ここに来る前に内臓は抜かれているので、今度はそこに数名がかりでシャベルを使って小麦粉と木の実を練り合わせた詰め物を放り込んでいく。
ミキサー車一台分ぐらいの詰め物が中に放り込まれた。
さらにキリノが作った醤油ベースのたれをつけ込んだ、ヤシの葉の様な木の葉っぱで、鳥の身体全体を覆う。
再び浮かせて敷き詰めた葉の上に下ろす。
今度は粘土をぺたぺたと塗りたくりはじめた。これも20人がかり。
この辺りになると女王である先輩まで一緒にやっていた。
「これ、大好きなんです!」
と粘土で顔と銀色の王家のビキニや身体を汚しながらニコニコしてる。
女王様と言うよりやっぱり年相応の高校生が野外料理にチャレンジしてるようにしか見えない。
ただ、目のやり場には困った。
何しろ力仕事だから全員周囲はビキニの女性ばかりだ。
しかも泥だらけになりながら、寒さの増す中、汗をかいて健康的な肢体を光らせてたりする。
健全な男子としては、体力と言うより精神衛生上の理由から撤退し、俺は穴の縁から事の成り行きを見守ることにした。
粘土の塊になったドット鳥の上に、掘り出した土を埋め戻した。
当然ドット鳥の分は盛り上がるからそれを均す。
「で、あとは?」
俺が尋ねると、先輩はニッコリ笑って。
「この上に火球を落とすんです」
ととんでもないことを言い出した。
「でもその前に、肉に味が染みこませるためにひと晩寝かせます」
「ひと晩でいいんですか?」
「それ以上は土の中の生き物にかぎつけられて食べられちゃいますから」
そうでした、ここは100万年後のファンタジー世界でした。


そして翌日、宮廷魔法使いたち数名が代わる代わる、砦の外の地面に埋められたドッガ鳥の周辺に掘られた溝の中に炎の塊をぶち込んだ。
炎の塊はグルグルと等間隔を描いて溝の中を走りまわり、あっという間にドッガ鳥の周辺の地面を焼き固める。
そのど派手な光景もあってか、「ドッガ鳥をお城で料理しているらしい」という話はあっという間に伝わり「本当にお城で食事をごちそうしてくれるらしい」ということで、砦の外はそわそわしはじめた。
さらに、城の中の兵士たちも、だ。
これはサブリナのおかげである。
先輩に頼まれたサブリナは「城の兵士全員に」あの赤いメタリックカラーのビキニアーマー(キリノの厳命によりデザインは大分大人しいものになった)が「特別装備」として配られることになったからである。
やはり戦士なのだろうが、「赤くて特別」ということで彼女たちのテンションもかなり上がった。
「ドッガ鳥」というのは基本、戦争、もしくは鳥自体が里に下りてきて悪さをしない限りは捕獲されないものだし、女王陛下のいる場所で御自ら食事を振る舞うというのは前代未聞だそうだ。
まあ、普通の王様ってのはそういうもんだよなぁ。
日本だと大名の中には一緒に庶民と踊ったりするお殿様がいたりするけど、ああいうのは例外中の例外だし。
そして「くりすますのお知らせ」にはひとつ条件があった。
「各家庭にある木の皿を人数分、そして燃やせる物を持ち寄ること」
前日、初めての雪が降った。
俺はこの国でまさか使うとは思わなかった石油ストーブを引っ張り出し、火を付けることに。
キリノと先輩は砦の中をかけずり回り、先輩は銀色のビキニ、キリノはスクール水着姿で全員を指揮して砦の中を飾り立てた。

そして俺とキリノのスマホが指す時間が12月25日になる。

昼12時になった頃、先輩は学校砦の門の前に組まれた櫓の上に立った。
すでに門の外には門前町の、そして旧王都から来た人たちがガヤガヤと集まっている。
どう勘定しても掴みで3千人以上いる。
子供たちも大勢いた。
赤いビキニ鎧を身に纏った先輩は櫓の上から周囲を見回し、声を張り上げた。
「これまで我々は苦難の道を歩んできました! やがてその苦難の年も終わります。でも来年からは違います! 守りの時代は終わって、新しい、よりよい世界を切り開く時が来たんです!」
先輩の声は魔法によって増幅され、会場の隅々にまで広がった。
「さあ皆さん、これから鐘を鳴らします! そして深夜の鐘が鳴るまで、ここで大いに飲み、食べ、楽しんで下さい! 」
先輩が高く片手を挙げ、振り下ろすと、中庭に引き出された大きな鐘が鳴り、「くりすますのお祭り」が始まった。
ドッガ鳥が掘り出され、包んでいた粘土が割られる。
雪の積もる会場の空へ向けて、大量のほっこりとした湯気が立ち上った。
飴色に輝く特大のチキンと化したドッガ鳥。
砦の兵士達がそれを普段と違い、顔が写るほど綺麗に磨き上げた巨大な剣でゆっくりと切り取り、それを料理人たちが小分けにして持ち寄った木の皿に盛り上げる。
ちゃんと一列に整理させているんはセレルさんとアレルさんのふたりだ。
雪で冷やされた飲み物と、温かいスープ(ドッガ鳥の頭を煮込んだものでダシを取ってある)がさらに来て、昨日の夜から焼かれまくったパンケーキにちょこんと生クリームを載せた物が並べられる。
最初は皆戸惑い、そしてやがてそれぞれの料理をひと口食べると驚きと歓喜の声が上がる。
「美味しい!」
「甘い!」
「暖かい!」
「つめたーい!」
特に子供たちは素直だった。
楽師たちが音楽を奏ではじめ、集められた芸人たちが芸を披露する中、ドンドン祭りは盛り上がっていく。
中には防寒着を脱ぎ捨ててビキニになって踊る人たちも現れた。

俺はなにをしてるかって?

キリノと一緒に、先輩の挨拶が終わって最初のドッガ鳥を数十名分切り取って貰うと、砦にとって返して、残った守備の人たちに、学食で作ったパンケーキとスープにコーヒーを一緒に添えて配って回る役目だ。
お祭りに参加出来ない人たちへのせめてもの気配り、というところか。
ようやくアサルトライフルの使い方を覚え、背中に重い銃を背負った彼女たちは、俺の配給をとても喜んでくれた。
キリノの発案で、期限切れになりそうなキャンディーやグミ、チョコレートなどを紙で包んで一緒に手渡す。
中には感極まって泣き出す人も出てきてちょっと困った。
このテ=キサスの人たちが、どれだけ辛い年月を生きてきたのか、それがよく分かった。
ごちそうには違いないが、それを配っただけで有り難いと涙を流す、ってのはつまり、それぐらい「いいこと」に恵まれてないというか、希望の遠い世界に生きていたということで…………逆に言えば、そんなことを見て驚く俺たちが、これまでどれぐらい幸せな世界に生きていたかという証明でもある。
俺に出来ることと言えばニッコリ笑って「どうか警備をよろしくお願いします」と頭をさげ、泣いている人にはハンカチやティッシュを差し出すぐらいのことだ。
なんか、情けないというか、もどかしいというか。
だが仕方がない。そういう状況なのは事実だ。
これから変えていけばいい。過去に幻滅しても、未来に絶望しても始まらない。
「今」から変えていく。
…………あれ、どうも映画に影響されたか。
まあいいや。ネガティブシンキングよりポジティブもしくはノーシンキングのほうがマシ、って偉い人も言ってるらしいし。(続く)

 

エルフでビキニでマシンガン!外伝「エルフでビキニでクリスマス!」その3

満面の笑みを浮かべ、キリノを真っ直ぐに見つめると、女神は右腕を突きだし、握りしめた拳から親指を立てる。
いわゆるサムズアップ、別名GJポーズ。
おい、女神、もちっと行動に神秘さと荘厳さを持て。
『素晴らしいです! あれも、ビキニに次いで良い物です! むしろ足の付け根の切れ込みをもっと鋭角にすると凄くいい! きっとお尻のラインが露出してもっとエロ……いえ、美しく見えます!』
「…………」
そうか、どうりでサブリナと友達になれるわけだ。
この女神、頭の中はサブリナとほぼ同じだ。
ダメ女神、いや駄女神だ、この人。
『素敵です、キリノ様とやら、あなたはサブリナが仕えるべき『古き人』の一族なのでしょう。気を抜けば太り、年老いる……でも、それでもなお、その水着はいい! 素晴らしい! 未来を感じさせます! ビキニと並んでこの水着は素晴らしい!』
「で、でも女神様! あのワンピースでは鎧にしたときに華やかさが!」
とうとう先輩が声を上げた。
声が上ずっているのはこんな駄女神でも彼女にとっては「神」だからか、思わぬ成り行きに動転してるからか。
『そなたはテ=キサスの新しい女王ですね』
と女神ビ・キニは優しい視線を先輩に向けた。
『自分たち人類を信じるのです。ビキニとワンピースは世界を二分する物ではありません。どちらがどちらではなく、どちらも素晴らしいものなのです。そしてあなたたち人類はきっとワンピースを鎧に替えたときもデザインで、材質で、そして何よりも着るものの体型で、無限にいやらしい……もとい、無限に素晴らしい華やかさと艶を持たせることが出来るでしょう』
今、この女神、いやらしいとか言ってたぞ!
『…………そこのあなた、【古き人】故に敬意を持って見逃しますが、私は決して破廉恥でいやらしい物が好きな女神ではありません。単に男女の美学を重んじるのです。男は筋肉で鎧を支える美しさ、女は肌を露出させて戦うことの美しさを追求すべきなのです』
どうやら女神は俺の頭の中の突っ込みを「聞いた」らしく、ちょっと慌てたように言った。
『戦いとは、そんな男女が激しい運動で汗でぬらぬらと肌を輝かせ、ぶつかり合い、命がけで戦うからこそ萌えるのです、いえ、燃えるのです! それこそが命の輝きなのです! あなたのような少年は、もっと己を磨きなさい』
と真面目な顔で女神は俺を見て言った。
どう聞いてもそのご意見は「戦神」という荘厳な名前に似合うものではなく、単なる戦闘マニア、あるいは何かの「困った人」の台詞にしか聞こえない。
確かに戦争の神様だから多少こちらの常識とは違う思考だろうとは思っていたが、これは斜め上過ぎる。
『そう、あなたはあと五キロほど痩せれば、女装が似合うようになるでしょう。そうすればきっとあなたもビキニとワンピースのよさが分かるようになります」
「おい、それって女装しろって事か?」
「そうです、ザッツ正しい方のオーライ」
この女神、とうとう英語使いやがった。
「ちなみに私は屈強な男と女装美少年の組み合わせも大好きですが、あなたのようなオトコの匂いを残した少年が助走し、がっつり組み敷かれるのも、組み敷くのも好きです、大好きです! 相手はこの場合屈強な男の戦士でも女の戦士でも、また美少年同士でも結構です!』
「うわ、腐女子要素まであるのかよお前!」
女神を指差して「お前」呼ばわりもないもんだが、俺はうっかり突っ込んでしまった。
『お前なんて言わないで下さい! 私、一応女神なんですからねっ!』
ぷうっと頬を膨らませ、顕現なさったときの荘厳さはどこへやらの女神ビ・キニは『では帰ります!』と鳥居の中に消えていった。
「…………なんて女神だ、っていうかこの世界の神様はあんなんか?」
この国に大呪詛を駆けて世界を変革しようとしているあの大魔導士、ザック・ナイダーが言った言葉の意味が、俺には別の意味でよく分かった。

こりゃ、変えたくなるわ。

「まー、神様って言っても今は魔法の管理システムのインターフェイスみたいなもんだからねー。あたしと同類」
サブリナの答えに少しホッとした。
そうだよな、本物の神様じゃないよな。うん。
と周囲を見回すと同じぐらいあきれ顔のキリノと俺、サブリナの他は皆、大地に膝を突いて敬虔な祈りを捧げている。
「あれ……あの姿と言動を見ても呆れてないのか?」
「うーん、彼らには遺伝子レベルで、神々の『困った言動』は見えないし、聞こえないの。さっきのビキニっちとあるじ様たちの会話も、他の人類には聞こえてないわ」
「そんな……」
洗脳詐欺だ、と言いかけた俺に、キリノは手を挙げて制した。
「彼らはそうやって生きていくように適応した、ということね?」
「そういうこと。こういうのをなんて言うんだっけ……そうそう『知らぬが仏』ってやつ?」
「どっちかっていうと、知らぬが女神、だな」
俺はしみじみと溜息をついた。ことわざ的に間違ってる気がしたがもうどうでもいい。
案外、俺らが現代社会で「いる」と思っていた神様も、外から来た連中から見ればこういうものなのかもしれない。
いや、世界そのものを造った「なにか」もこの世界以外から見れば……やめたやめた。
こういう話は切り上げだ。

さて、クリスマスどうしようか?

 


駄女神、ビ・キニが帰ったその日から、俺らは必死になって街の人たちに「クリスマス」の説明をしなければいけなくなった。
問題なのは「キリスト教」という要素(ファクター)なしにその成り立ちをどう説明しようか、という点だったが、これは女神を召喚してしまったことで図らずも「ワンピース水着が認められた聖なる祭り」という認識になってしまった。
まあ、キリスト教ってこの世界じゃ一回転(?)して新興宗教になっちまうから、これでいいのか。
でも何をどうやって、という具体的な例をどう示すか、についてはキリノが答えを出してくれた。
「映画よ」
「でも、クリスマスの映画ってクリスマスそのものを描いたものって殆どないだろ? クリスマスに起こる悲劇だったりコメディだったり、アクションだったりで」
「最適の映画があるわ」
そう言って図書館のDVDライブラリから一枚古い映画を引っ張り出してきた。
「『クリスマス・キャロル』? 1970年の映画かぁ。随分古いな」
「好きな映画よ。主人公のスクルージがお祖父ちゃんによく似てたから」
「え?」
「顔だけね。そう言ったら苦笑いしてた」
そういったキリノの目が少し遠くを見た。
「…………」
俺らにとっては十年にも満たないが、この世界の時間で言えば100万年以上昔の話。
「とりあえず、この映画に出てくる主人公のスクルージは嫌なやつで、物語の前半はクリスマスにやるべき事をしない、ってことになってるわ。だから『なにをするか』を教えるのに役立つと思うの。あと歌と踊りのミュージカル映画だし」
「なるほど」
「それに19世紀末のイギリスが舞台だから、この国の人たちにとっても『未来の自分たちの姿』としてうけいれやすいと思う」
なるほど、そういえばイギリスって王様より、殆どの時代を女王が支配してる国だっけ。
「あとは先輩……女王陛下からお達しを出せばいいのか」
というわけで、その日からヘビーローテーションで視聴覚室での「クリスマス・キャロル」上映会が始まった。
終わるとクリスマスのセミナー……いや、説明会というか、何というか。
とりあえず、映画のお陰で「女王陛下はこういう風景をお望み」ということは理解してもらえた。
ちょっと興味深かったのはこの映画ははじめてテ=キサスの住民に「今まで見たことのない物語だからもう一回見せて」とせがまれる作品になったということだ。
考えてみればミュージカル映画というのはこれまでかけたことはなかった。
彼らにしてみれば旅芸人の芝居の特大版としても見られるわけで。
で、翻訳魔法のお陰もあるんだろうが、見終わった後母親も子供たちも一緒になって劇中歌の「Thank you very much」を歌いながら帰って行く姿が見られるようになった。
俺自身もこの映画は好きになった。
豪放磊落な「現在のクリスマスの精霊」を見てちょっぴりジイちゃんを思い出したのかも知れない。
最初「人生が嫌いだ」と拗ねるスクルージは昔の俺自身のようで、それを励まし「いたわりの美酒」を飲ませ、一緒に歌い空を舞ってくれる豪放磊落な「現在のクリスマスの精霊」は、落ち込んだ人を励ますときのジイちゃんそのものに見えて涙が出そうになった。
そして最初見終わったときは、ただ改心してイイ人になった、という風に見えたスクルージが何度も見返す内、実は「未来のクリスマスの精霊」が見せた数年後に死ぬという未来を受け容れて、その上で人生を楽しむために金銭への執着というしがらみを棄てたんだ、と気がついたからだ。
変えられなくてもいい、今を楽しもう、というのは「人生が好き」という「現在のクリスマスの精霊」が歌う「 I Like Life」の歌詞だが。
そういえば子供と一緒に歌いながら出て行く母親たちは仕事場で歌ってるのは「I Like Life」が多い気がした。
そして妙に熱心にキリノと先輩はクリスマスの飾り付け造りに精を出した。
といってもリースと鈴、そして幼稚園でよく見るような紙鎖の飾り付けだが。
これが学校砦のあちこちに飾られるようになった。
しかもコピー機で数十枚「クリスマスのお知らせ」という告知を出力し、砦の周囲にある高札に掲げた。
まあ、そんなわけで「クリスマスという催し物を砦でやるらしい」という話は旧王都にも伝わっていったみたいで、周辺に出来つつある町を鍛錬がてら馬を走らせたり、散歩してたりすると子供や、その親たちに質問されることが増えた。
「まあ、お祭りだよ。収穫祭とは別に、今年を無事に終えられた、ってことでみんなで祝おう、ってことさ。食べて飲んで歌って。今年はブルネドが来たりとか色々あったしさ」
俺は努めてそう軽く言うに努めた。(続く)

エルフでビキニでマシンガン!外伝「エルフでビキニでクリスマス!」その2


「なんか頭の中で想像すると、それってワンピースの水着型サンタコスプレじゃないのか?」
「ぬ……」
言われてキリノは気づいたらしい。
あ、またいつもの「うっかり」が発動してたな、さては。
こいつは冷静だし、状況の判断は素早いのだが、論争常態になると負けず嫌いの性格故か、それとも豪放磊落なロシアンマフィアのお祖父さんの血なのか、時折「何の為か」がすっぽ抜ける欠点がある。
「ワンピースの水着ってなんですか?」
「ほら、この前先輩に見せた……」
と俺が執務室の隅にある箱を指差す。そこには学校の指定したスクール水着が入っているはずだ。
ぼっ、と先輩の顔が真っ赤になった。
「あああああああ、あ、あれはだめです!」
声が裏返っている。
「あんな、あんな、は、破廉恥な、身体の線と布地を一体化させて見せるようなものはダメです! いやらしすぎます! 卑猥です!」
きょとんとキリノは俺を見た。
「どういうこと?」
「いや、俺にも分からん」
人の美意識というのは文化をひとつ隔てると無限の段差を生むもんらしい。
「肌の露出は減るのに?」
「肌の露出はいいんです! あのぴっちりと身体の線を協調するのは駄目です!」
「露出するほうが駄目だと思う」
「人の素肌は自然のものです、あんな……あんな……うっすい布地でぴったりと……ああ、なんていやらしい!」
「確かに身体のラインが出るから、嫌らしいと言えば言えるけど、あの紐ビキニのほうが卑猥だと思う」
とキリノが当然の疑問を投げかけるが、先輩は「駄目な物はダメです!」と怒りそうになった。
まあまあ、と俺は割って入ったが正直これじゃクリスマスは難しいな、と思った。
「んー、だったら聞いてみる?」
意外な助け船は机の上からやって来た。
「あたし、戦女神のビ・キニとはダチだし。実際呼び出して聞けばいいじゃん?」
「おい、サブリナそんなこと出来るのか?」
「できるわよー」
それまでぺたんと座っていた二頭身のカウガールはひょいと立ち上がった。指笛を吹くと、スレイプニールという名を持つ、彼女の付属移動ユニット……というより同じ様にディフォルメされた子馬がテーブルの下から飛び上がると、とったかやって来て停止する。
「少なくともヴァルちんは知り合いだし、あたし霊子周波数しってるから実体化させて直接指示が意見聞けるよ」
「霊子周波数?」
「あー、ほら彼女たち『神々』が人の想念が霊子って言う素粒子のひとつに働きかけて生み出されたって話はしたでしょ?」
「まあな」
「で、で、素粒子や量子は『波』…………だから神々の個性ってのは周波数なのよ。かつては未整理でノイズも多かったから普通の人類にも見えたし声も聞こえたんだけど、今は人の思いが長年積み重なって純化してノイズがなくなったから殆ど見えなくなったの。でも事象は発生する、と…………電波自体が放送局になって永遠にこの辺りをうろちょろしてるって考えて頂戴」
どうにも納得しかねる話ではあるが、そういうことにしておかないと話が前に進まないので俺は頷くことにした。
「つまりあれか、電波の受信装置があればラジオやテレビみたいに姿形が見えて、話もできるって事か?」
「そういうことそういうこと」
こくこく、と二頭身カウガールは頷いた。
「なあ、その理屈でいうと神様と幽霊の区別が……」
「じゃーはじめましょー!」
俺の疑問をしれっとサブリナは無視しやがった。

 


その翌日、サブリナは学校砦の運動場…………今は訓練場と呼ばれる……のど真ん中に、砦周辺の街を作るのに使った木材の端切れを組み合わせた奇妙な祭壇を築き上げさせた。
祭壇と言えば聞こえは良いが、それは適当にな木の端材を縄や釘で打ち付けて作り上げた幅6メートル、高さ10メートル程の「鳥居」だ。
どう見たって、鳥居だった。
その根元に、理科室にあったニクロム線を突き刺し、端っこを古ぼけたAMラジオのハンドル部分に巻き付けている。
で、サブリナ当人はと言うと、アンテナを掴んで周波数のダイヤルを回しているという有様だ。
「おい、これで本当に何とかなるんだろうな?」
「だーいじょーぶだいじょーぶ、どれくらい大丈夫か、っていうとね、あるじ様が毎朝健全な肉体反応として、股間がビッグ……」
ぱあん、と派手な音がして、サブリナの頭にスレイプニールが(どうやって蹄でそれができるのかは俺にも不明な超科学力で)持ったハリセンが炸裂した。
「サブリナ、言動が下品である」
「しかたないじゃんよー、あたしの人格は19世紀末のテキサスっぽなんだからー!」
「お前のバグは仕方がないが、あるじ様への無礼は無礼である。それを修正するのが私の仕事である」
べしばしぼしぼし。
「うう、あたしって不幸……」
……のわりにはサブリナは楽しそうな気がするんだが……まあいいや。
とりあえず暫くそういうドツキ漫才を間に挟みながらサブリナは「チューニング」をしていたが、
「おっけー、みつけたー」
と声を張り上げた。
すると子供が自棄を起こして壊した物を不器用な親が修復したような歪な形の鳥居の中に青白い火花が散った。
ゆっくりとそれが人の形を取り始める。
長い銀色の髪、整った顔立ち、切れ長の目、そして……呆れるぐらいにぺたんとした胸元。
青地に金色の模様が入った鎧と兜。
兜とスラリとした素足の先を包むサンダルの踵には白い翼。
そして手には長い槍。
「ああ、なんてことでしょう! あれは戦女神ビ・キニ様!」
そう言って先輩が地面に両膝を突いた。
校庭に集まっていた物見高い人々も、衛兵もみな膝を突く。
俺でさえ事情を知らなかったら膝を突いたであろう神々しい雰囲気。
閉じた目を、彼女が開くとそれはいっそう強まった。
『私を呼ぶのは……だれ?』
声は涼やかで、穏やかで、それでいて戦いの時は雷鳴のごとく轟くであろう張りを持ったものだった。
『私を受肉させるとは……よほどの思いの力が無ければ……』
「おひさー!」
その答えにしては随分ぞんざいな声が響く。
『おお…………我が友、サブリナではありませんか。久しいですね』
「ホントにねー」
スレイプニールにまたがると、サブリナはとてたかと彼女の足下に駆け寄った。
『なるほど、あなたなら私を一時受肉させることができますね』
女神は神秘的な無表情のまま頷いた。
知り合いというのは本当だったらしい。
「随分と純化されたねえ」
『ええ、人の思いが私をここまで進化させました。素晴らしいことです。人の思いは奇跡を呼び、神をも生むのです』
「ところでさー。あんた。名前通りビキニ好きだったじゃん」
お前、そんな言い方はないだろう!
思わず俺が突っ込もうとする前に、神秘的な無表情のまま、女神ビ・キニはこっくんと頷いた。
『ええ、大好きです、あれは、良い物です。だから加護の力を与えたのです【男は鎧え、女は見せよ】と」
そこは神様として、ちょっと叱るとか、怒るとか、落雷のひとつもこいつに浴びせて欲しいんだが……。
「あのさー、ワンピースどう思う?」
傍若無人にちびっ子カウガールは続けた。
『ワンピース? 服のことですか? それとも遠い昔、あなたが話してくれた……』
「ああ、違う違う、マンガじゃなくて、服じゃなくて水着」
『……見たことがないので、何とも』
「こういうの……ヘイ! キリノさま、かもーん!」
ぴしっと指を鳴らすと、それまで何処に隠れていたのか、足首まで覆うようなマントに身を包んだキリノが現れた。
マントを取り去る。
そこに現れたものを見て、学校砦の関係者全員、つまりテ=キサスの国民だ……に動揺が広がる。
「なんて破廉恥な!」
「い、いやらしい……」
という先輩同様の発言が飛ぶのは予想の範疇だったが、
「綺麗……」
「色っぽい…」
「キリノ様、綺麗……」
という声も聞こえて来た。
「これが、ワンピース水着……この世界の常識じゃ、今の所この格好は破廉恥らしいんだけど、あんた的にはどーよ?」
切れ長の目で、じっとビ・キニはキリノを見た。
やがて、つかつかと歩み寄ると、キリノの周囲を大型犬が主に久々にあった時のようにクルクル回る。
顔を近づけ、首を傾げ、あちこちをのぞき込み、挙げ句はしゃがみ込んでキリノの背後から見上げるような仕草をした。
なんか、この女神、おかしいぞ?
段々女神の目つきがおかしくなってきた。
血走ってきたというか、瞳孔開いてきたというか。
やがて、俺が何か言う前に、女神ビ・キニは立ち上がり、つかつかとまた、元の位置に戻ってきてサブリナを見下ろした。
『見ました、彼女の着用している物がワンピースなのですね?』
「そ、あれも水着の一種…………で、アレを着用しているキリノ様はこの水着は恥ずかしいものではない、って言ってるんだけどあんたはどう判断するの?」
サブリナの言葉に、女神の表情が動いた。
(続く)

エルフでビキニでマシンガン!外伝「エルフでビキニでクリスマス!」その1

エルフでビキニでマシンガン!外伝「エルフでビキニでクリスマス!」

「で、我が国には記念日が足りないと思いました。あと行事ですね」
いきなり先輩がおかしな事を言い出した。

時間を二分ほど巻き戻す。

この発言が飛び出してきたのは俺と先輩の忙しい執務時間が終わって夜遅い…………と言っても午後8時ぐらいなんだが…………のお茶会である。
以前、先輩が俺の世界にいたときにもこれぐらいの時間までお茶してたが、今は俺の隣にはキリノがいる、ってのが以前とは違う点だ。
「そろそろ冬ですね」
先輩はそう話を切り出した。
まあ、たしかにこの3日、このテ=キサスは急に涼しくなった。
秋かな? と思っていたらこれがテ=キサスの冬の始まりなのだという。
それが「おかしなこと」の前触れだった。
「一ヶ月と少しぐらいで駆け抜けていくんです」
「駆け抜けて?」
「ええ!」
先輩は今は女王執務室となった、かつての校長室のソファの上でにっこり微笑んだ。
「来週には大分冷え込んで、二週間ぐらい雪が降って、それから一週間経ったらまた暖かくなっていくんです」
そりゃ随分と駆け足な冬である。
「で、我が国には記念日が足りないと思いました。あと行事ですね」
というわけで冒頭の発言となる。
「なんでそうなるんですか?」
俺はさすがに首を捻った。
「後輩君の世界で学んだのですが、非常時はともかく、普段人は休み無く働かせるより、適宜休みを取らせ、かつ、『特別な日』を設けて、休みを更に分散させるとより効率よく働けると」
「…………どこで学んだんですか?」
「図書館に入ってた本で読みました」
これでブラック企業の社長の啓蒙本でも入ってたら偉いことになってる。
神様、うちの学校の図書館の司書がまともな人だったことに感謝します。
つーか、司書さんまともな人でありがとう。
「で、この国の祝日というのは現在3日しかありません」
「公休日みたいなのはないんですか?」
「月に2回なんです。これを是非週休1日ぐらいにはしたいなーと」
「それは、大事」
こくんとキリノが頷いた。
「それとは別に、『特別な日』としてのクリスマス、ってわけですか?」
「ええ」
と先輩は頷いた。
「色々考えたのですが、『くりすます』と『ばれんたいんでー』はとってもいいお祭りだと思うんです。特に『くりすます』は互いを思いやり、隣人を祝福すると言う意味で!」
「ここの神様的には大丈夫なんですか?」
俺が疑問を呈すると、先輩はニッコリ笑った。
「そこは大丈夫だと思うよー」
暢気な声がテーブルの上からあがった。
サブリナ……正式名称はめんどくさいから書かないが、二頭身のちびっ子カウガールな格好をしたこいつは一種のアンドロイド、俺たちが生きていた時代から100万年後の未来であるこの世界において、旧時代のハイパーテクノロジーを管理する立場であり、同時に今あるこの世界の成り立ちを知っている存在だ。
「ビーちんはビキニつけたおねーちゃんと逞しいおにーちゃんが乱舞するかどっちかがあれば納得するしリティヴィねーちゃんは御布施と人口増加が見込めれば問題ナッシン。他の神々も戦争とか生贄の儀式とかじゃなければ人類が増えるのは大歓迎だし、楽しんでリフレッシュする分には問題ないっしょ。この世界の神様は800万以上いるから今さらひとつふたつ増えてもかんけーないって、あるじ様」
ずいぶんと大雑把だな、おい。
と、ここで俺はちょっと不安になった。
「…………そもそも、先輩、どんな風にクリスマスを理解してるんです?」
「私もそれ、聞きたかった」
こっくんとキリノが頷く。
「え? えーと、まず、華やかに街中を飾り立てて、ケーキを家族で食べて、鶏か七面鳥という鳥類を丸焼きにしたものを食べて、プレゼントを交換して、華やかにダンスしたり歌ったりして、お酒を飲んで、賑やかに過ごす、ですよね?」
俺とキリノは安堵の溜息をついた。
ひょっとしたら別の…………例えば東北のナマハゲ、あるいはヨーロッパではサンタと対になってるクランプス(正式にはサンタの従者で、本来はサンタはよい子にご褒美としてプレゼントを、悪い子はクランプスが捕まえて袋に詰めて何処かに連れ去る、と言われてるそうだ……これはキリノのお祖父ちゃんからの受け売りだが)、あるいは映画にもなった、クリスマスが大嫌いな怪物、グリンチとかまでごっちゃになってたらどうしようかと思っていたのだ。
文明、文化に対する思い込みを解除するのは本当に難しいんだ、これが。
いずれ機会があれば話すけど、これ以外にも色々あった。
「プレゼントはともかく、ケーキはどうするの?」
キリノの表情はやけに真面目だった。
「ああ、それは大丈夫です、ケーキぐらいはこの城でも作れます。鳥は、今、セレルとアレルに命じてダッカ鳥を三羽ほど捕まえにいかせてます」
「え?」
俺の表情が強張った。
ダッカ鳥というのは…………えーと、短く言うと特大のヤンバルクイナみたいに地面を「走る」鳥だ。
俺が見た「小さい」ダッカ鳥で全長4メートル、体高は2メートルは超えていた。
「大物」となると全長15メートル、体高7メートルぐらいあるらしい。
ヤンバルクイナのように臆病ではなく、場合によっては鎧オオカミさえ餌にしてしまうという。
「大丈夫なんですか?」
「ダッカ鳥は魔法使いが付いていけば楽ちんで捕獲できますから。ついでに卵があれば卵も持って帰るようにと伝えてあります」
「…………あとは小麦粉ね」
「いや待てキリノ、あんな大きなもん、どうやって丸焼きにするんだ、そもそもつけダレとかいるだろう!」
「そこは大丈夫。宿直室の床下収納に業務用の醤油が20缶あるのを見つけたから」
「いやまて、なんでそんなものがここにあるんだ?」
「事務長の増村さん、業務スーパーマニアだったみたい。冷蔵庫には30キロのバターと塩、それと胡椒があったわ」
「そういえば、学園祭の時に食い物屋やってて困ったら増村さんとこへ行けとかいう話、聞いたことがあったな……それに何故警備員の部屋に業務用冷蔵庫があるのか不思議だったんだが」
「多分、そういうこと」
「あとは衣装ですね! 白い飾りの付いた赤い帽子と黒いベルトと真っ赤なビキニ!」
「…………先輩、何故そこでまたビキニなんですか?」
「え? 女性がサンタの格好をするならそういう格好でしょう? わたし、コンビニの雑誌で見ましたよ?」
ああ、しまった。図書館以外に世俗にまみれた場所があるのを忘れてた。
「だから、ほら!」
じゃーん!と口で擬音を言いながら先輩は薄くて丈夫な鋼の上からクリアレッドな色で塗装されたメタリックなビキニアーマーを取りだした。
「この前の戦いで使ったサブリナ様のところのビキニアーマーがとっても着心地が良かったんで予備を作って貰ったんですが、こういうこともあろうかと赤くして貰ったんです!」
まあ、この人、つーかテ=キサスの国民にとって、赤青白の組み合わせが遺伝子レベルで「よいものだ」とすり込まれてるので仕方がないが…………黄色が入ればガン○ムだよな、これ。
「あと、これがアンダーです!」
そういって見せてくれたものを前に、俺は思わず目眩を覚えた。
それはビキニアーマーの、というより紐と掌の半分ぐらいの布で出来上がった「一点のみを覆う物」としか表現出来ない代物だった。
「却下」
にべもなくキリノが言った。
「それはだめ、絶対」
「どうしてですかー?」
「こいつの教育及び精神衛生上良くない」
そう言って俺を指差す。代弁してくれて有り難いんだが年上を指差して「こいつ」はなかろう。
だがそれを口にするとまためんどいことになるんで黙っておく。
「何故ですか? ビキニは我々の聖なる衣装ですよ? 後輩君は正しい人です」
「男はケダモノを心の奥と足の付け根に飼ってるの」
本気で首を傾げている先輩と、本気で怒りそうになっているキリノの視線の間に割って入るのはなかなか勇気の要る話だったが、放置してたら本気でどうなるかわからない。
キリノは突発的に何をしでかすか心配だし、先輩は先輩で魔法とか使えるし、第一このふたりが今実質的なテ=キサスの頭脳であり統治者なのだ。
単なる「銃使い」としては調停役を買って出るしかない。
買いたくないけど。
「あー、先輩、残念ながらキリノの言うことが正しいです。俺、先輩がそのビキニつけて目の前をうろつかれると多分色々厄介なことになります」
「…………そうなんですか?」
「はい」
俺は溜息交じりに説明をした。
『第一に俺は健全な男子で、そういう欲望がちゃんとあります、第二に、先輩は美人で、グラマーで、正直言って…………」
なんだ? 今度はキリノの視線が俺に向けて氷点下になってきてるんですが。
「いやまあ、とにかくですね、サンタコスは良いとしても、出来ればもうちょっと、その肌の露出面積の少ないモノにして頂けるとありがたいです」
「たとえば?」
「上は胸の谷間と臍を出さない、下は太腿を出さない。本物のサンタがそうだもの」
とキリノ。
「でもそれでは神様が怒ります。お祭りで手足の露出と、胸の谷間がないというのは良くないです。神々への供物なんですから!」
いっつも思うんだが、ホント、どういう神様なんだよ、いったい!
確か戦の女神だっけ。
「…………では襟元は閉じて、胸の谷間だけ出す」
「腕も認めて下さい」
「じゃあ肘まで手袋」
「太腿も」
「じゃあ膝上まではブーツで」
おい、なんか交渉しながらキリノ、見事に転がされてないか?
本人は「必要とされる最低限の露出だけを認める」ように考えてるようだが、それって……(続く)

「リラム~密偵の無輪者~」電書版が現在半額、もしくは半額以下になっています!

「リラム~密偵の無輪者~」

 

「カミカゼの邦」の電子書籍版半額セールが終了したと思いましたら、今度は「リラム」が半額セールの対象になっております。
しかも今回、AmazonのKindleだけではなく、以下にある複数の所での半額セールです!
歯ごたえがありすぎるファンタジーと評判のこの異世界スパイアクション、如何でしょうか?

※文字をクリックすると該当ページに飛びます

Amazon (紙&電子書籍)
BookWalker(紙&電子書籍)
BookLive(紙&電子書籍)
e-book japan (電子書籍)
DMM(紙&電子書籍)
Reder Store(電子書籍)
紀伊國屋(電子書籍)

内容は以下の通りです。興味が湧いた方は是非!

神々と魔法が去り、宗教が意味をなさなくなった世界。
魔法のような技術と、神々でも溶けぬ経済仕組みは残った世界。
人々は全てを経済によって取り仕切り、「王」の呼び名が失われ「位主」に変わったことさえ、人々が忘れたころ。
かつて国を為した組織は経済集団と定義され「圏“エスティズ”」と呼ばれるようになっていた。
東にあるヒウモト圏の位主=将位主の継承第二位のレイロウ・トクゼは自らその権利を放棄したにもかかわらず、頭脳の冴えゆえに、現将位主である兄からは却って疑われ、暗殺を避けて南の果て、ロキオルス圏に亡命していた。
しかし、ロキオルス圏位主官の娘マリエイラを房中術でもてなしながら隠遁生活を過ごすレイロウの下には、いまだ兄の殺意が貿易商の形となって伸びてくる。ある日、レイロウはマリエイラから、圏が侵略の危機にさらされる前にと、ヒウモトとの外交補佐に紛れた諜報を依頼されるのだが―。

ノベルゼロ紹介ページ

サイバーマンデー!

……というものがアメリカにあるというのは聞いてましたが徐々に日本でも、主にAmazonさんの主導で滲透しつつあるようで……と思ったら拙作「カミカゼの邦」がその対象になっていて、電子書籍版(Kindle版)が現在半額の800円台になっております!(↓の画像クリックすると売り場に行きます)

発売が8月の末ですからもう3か月以上になろうとしている本ですが、始まった途端に、Kindleにおける小説、文芸部門の50位圏内に入って参りました(12/07 23時現在)。
これまで2千~4千位あたりをうろうろしていたというのに、と驚いています。
皆さんがそれだけ、この小説に興味を抱いていてくれたと言うことでしょうか。
なお、この半額の販売は11日までで、次は恐らくないと思います。
電書で欲しかったけど高くて、という方、紙の本は持っているけどスマホで読める電書も、と言う方、是非よろしくお願いいたします。

また、今回の様な電書を管理する側主導のバーゲンは、恐らくこれまでの購買者の動きを見て「これならバーゲンすれば薄利多売であっても充分儲かる」という「読み」があったのではないかという憶測がなりたちます。
つまり、最初に定価で買ってくださる方々がいるお陰でバーゲンという形ではありますが、本好きの間で言う「布教」が成り立つわけで、これまで定価で電書を買っていただいた方には本当に感謝の言葉もありません。
皆さんのお陰で、より多くの人たちにこの本が行き渡ります、ありがとうございました!

沖縄コミコン当日

2017年10月15日
ウトウト眠って6時起き。
念の為着替え用のTシャツを二枚、展示用模型を移送するためのバッグに放り込む。
余裕があるんで、とのんびりした結果、時間遅れて玉盛さんにピックアップしていただく。

08時前に現地到着。今年はゲートで揉めることなくスムースに入れた。
設営、といっても今年の荷物はふたつなので大変暢気。
なお場所は体育館。バスケコートが四面入るぐらいの大きさですが建築が古いのでクーラーが無いという地獄の開始でもあります……(当日気温32度)
今年は近くの角ふたつに工場用スポットエアコンを作ったので……と思ったらその効果をあげるためかガッシャンとシャッターが閉まり。結果無茶苦茶な汗を掻くことに。
もうこめかみの辺りに幾つか穴が開いていて、そこからどばどば水が出る玩具になった感じで汗が噴き出る。
そんな中、QuestionNo.6先生と横田守先生、ザマ・ケイ(座間慧)先生にご挨拶。SHAZAM!のSEN先生への手土産を忘れて後悔。
何か大きなイベントがあるとき、必ず細かい忘れ物をするのは何故か。
楽団の演奏はリハーサルからチェック。
ただし回線が細いのか全然投稿がTwitterにもFacebookにも上がってくれない。
仕方ないのでWi-Fiをきる(これが間違いの元で、さらに回線が細くなった上、恐ろしく早くバッテリーを消耗する一因になった)。
そしてまた充電用バッテリーは持って来たのケーブルを忘れる私。
かくて開場。
一発目はど定番の「スターウォーズのテーマ」
そして日米友好の代表曲として、例年通り真っ先にこれがかかるので感無量。
https://twitter.com/OKina001/status/919530739451834369
その次がこれ。
https://twitter.com/OKina001/status/919566334358298624

カウボーイビバップの「TANK!」も演奏してたけどこっちは微妙なアレンジな上、動画が何故か縦長になっていた。
楽曲では「進撃の巨人」の海外での人気の強さを再確認。コスプレイヤーも多数。
どんな体型の人も、どんな出来の衣装の人もみな一様に「楽しんでる」感が半端なく、見てるほうもニコニコしていられる。
模型展示コーナーは盛況。県内模型サークルの模好人(もすきーと)さんの展示はユーモア系もあり、ガンプラメインと言うことで若い世代からお年寄りまで。
そしてマシーネンクリーガーの大ファンでワンフェスではオリジナルキットまで出すディーラーでもあるHさんの展示はやっぱ渋いものが好きそうな人が注目(中に「レゴでマシーネンを作ってる人をwebで見て興味が湧いた」という人あり)。
面白かったのは70近いお祖父ちゃんが「ガンプラは素晴らしいから作るが、ガンダム本編のアニメは見ないんだ!子供っぽすぎてね!」力説してたこと、ナゼそれをいうのよ?……いやとりあえず「自分」を語るのはあちらの方らしい「好き」の表現ではありますが(笑)
私がお邪魔したTさんの卓はオールディーズSF&オタメカがメインと言うことで、懐かしの模型メーカーオリジナルなプラモデルや、ケナーの「お友達サイズ」エイリアンなどが多数並ぶ。「マッドマックス」のインターセプターと「カリ城」のフィアットが人気の被写対象。
フォトフォト
フォト
マクファーレントイズのフィギュアとバイクを改造&改良した「アキラ」の有名なイラストを再現したものは、やっぱ渋いもの好きそうな人の熱い視線を受けておりました。

で、もう一つ熱烈な視線を集めていたのが「ロボテック」の展示物。ウチのモンスターもこれに入りますが、中でもタカトクのバルキリーの完全変形玩具をレストア&再塗装したものが「俺これ持ってたよ!」「まんだらけで買い直した!」という人が続出。
中には「子供の頃から大事にこれ持ってたんだけど、別れたカミさんに喧嘩の時、粉砕されたんだ……」というアメリカンな事情を語りつつ遠い目になる人も……。
フォト
そしてお隣のStudio Gazeroさんのディフォルメガンダムシリーズは万人に大人気。個人的には一緒に展示されていた『エージェン・オブ・シールド」のコールソンとメイが素敵でした。特にメイの目つきの悪さ!(笑)
フォトフォト
さてトコトコと会場内を回ってて、玉盛さんと保里さん(地元で活躍しているイラストレーター)が主催したお絵かきコーナー、落書き用の大判紙に、ひとつだけ大人げないぐらい上手いワン○ースのイラストが描かれていて「?」と首を捻る※。
フォトフォト
そして唐突に生・野沢雅子。アイデンティティのひとじゃないです、モノホンです。
ホントに来てました。ただし一般客による撮影録音一切禁止、何を受け答えしたかの記録禁止(契約上の理由だそうで)。
ふだんは温厚そうなMCCSの人たちが鋭い目つきで警備してました。
考えてみればうちの小説、「カミカゼの邦」の主人公、渋谷賢雄もパラレルワールドではこのコミコン会場にいる可能性があるわけで。
願わくば何事もなく、来年も再来年も、数十年後もこうしてコミコン開催されてるといいなぁ、と柄にもないことを思ったり。
それはさておき。
同じ敷地の別の場所にいる知り合いのご夫婦が野沢さん目当てに来ていたので電話をかけるが一切応じないので慌ててそこまで走って呼びにいったので、舞台を見ていられたのは数十秒、それでも生の野沢雅子さんでしたよええ。
戻ってくると野沢さんはすでに退出(正直あの暑さは、普段中東いってるはずの海兵隊員でもウンザリ顔するぐらいなので、60を超えた人には危険だから当然の対処だと思います)。もっと涼しいレストランの入った別施設でのパネルディスカッションと握手会の開始時間と注意事項をMCCSの人に説明して貰いました。
ご夫婦はそちらへ早めに移動。無事にパネルディスカッションに参加出来たそうですが、もの凄い盛況だったそうで(後で青ニプロのTwitterに写真が上がってました)
https://twitter.com/aonipro_kaigai/status/919496561955966976
18時閉会。私は持ち込んだ荷物はふたつだけなので気楽に身支度を終え、玉盛さんのお車で送って貰うことに。
途中ラジオから「声優の○○さんは○○年生まれ……」と国民的人気番組の主演声優さんのプロフィールが流れ、このところ漫画家さん、作家さん、役者さんの訃報が多かったので。「おいおいまさか!」とふたりして緊張しましたが、そのアニメの展示会をやるため、ロングインタビューが流れるその前振りで安堵。
そして苦笑。人間幸せな気分の時ほど不幸を怖れるものなんですな。
さらに、この時点でまだ20時にもなっていないと知ってふたりとも改めて驚く。
ふたりとも東京にいるときの体感時間になっているため、もう22時を過ぎている気がしていました。
家に戻り、荷物を置いて、取り急ぎ風呂には行って身体中に膏薬を貼り付け(特に団扇で扇ぎ続けた両腕と足の裏)、倒れ込むように眠りに。
まあ、しんどいけど楽しい一日でした。来年は個人ブースで出展出来るようなネタがあるといいなぁ。

※閉会後、東○の作画監督の人がたまたま遊びに来て描いたものと判明。