覚えてるつもりで……

10代から20代の終わりまで、とにかく映画を観まくっていた時期がありました。
丁度時代がβ、VHS戦争の末期のころ。
我が家の経済事情は高校卒業まで、ビデオデッキを買う程ではなかったのですが、それでも何とか大学に入るあたりから自力でVHSビデオデッキ(中古)を購入して以後、録画王とか色々買い変えつつ、片っ端から映画を借りてくる日々でした。
当時まだTSUTAYAはなく、沖縄では九州地方で最もチェーン店を展開していたBOOKBOXという書店とレンタルビデオの店が最大規模の勢力を誇り、山のような新作旧作のビデオがフル回転で押し寄せてきていました。
今と違い、一泊二日380円が「安い!」と驚かれる時代。何とかバイト代をやりくりして映画を観まくりました。
そうなるとガイドが必要です。当時映画雑誌はもちろんですが映画の本も多く出ていました。
最初にガイドにしたのは当時まだ連載されていた双葉十三郞先生の「僕の採点表」、そこから小林信彦先生のエッセイ。さらにそこから装丁の和田誠さんの「お楽しみはこれからだ」シリーズへ。さらにあちこちから出ていたビデオ雑誌や映像系、娯楽系雑誌に載っている映画の豆知識を一生懸命詰め込んでおりました。
台詞回しやストーリーの基礎の基礎をそこで学んでいたと思います。
で、そこで得た知識は確定しているモノだと思い込んでおりました。
ソビエト映画「戦争と平和」ではラストの大戦闘シーンでロケットを撮影に使っている、というのもそこで得たモノです。
で、その後「戦争と平和」をみる機会があり、ちゃんと確認した……筈なんですが。
何処の場面で使ったかを完全に記憶違いしておりました。

途中の3分45秒ぐらいに始まる砲弾視点のシーンだとばっかり思い込んでおりまして。
で、まあTwitterでこの話題が出たとき、意気揚々と書き込みまして。
暫くやりとりをしたあと、記憶の端っこに違和感を感じて最後まで見ると……実際には5分10秒あたりから始まる場面がそれだとようやく思い出しました。
いろんな人が「若い頃に得た知識は確定していると思い込みがちで」と書いたモノを読んでいるにもかかわらず……小林信彦先生でさえ「今は当時の資料とノート、日記を読み返す」と書かれる程なのに。
知識の基本は記憶ですが、それをどこかに出力するなら、事実確認を怠ってはダメですねえ。
色々反省しております。