「死霊のはらわたリターンズ」S1~2感想

今回は13日の金曜日に相応しい話題です(笑)
Huluで「死霊のはらわたリターンズ」シーズン2までを見ました。

今から数十年前、まだ無名時代のサム・ライミ監督と仲間たちが作った「死霊のはらわた」は低予算ながら異様なテンポの良さと演出で、当時嵐のように巻きおこっていたスプラッタホラーブームのトップランカーに踊り出て、以後サム・ライミは大監督への道をひた走ることになります。


ゾンビものという体裁で当時日本では喧伝されてましたが、もっとスピーディで狡猾で、劇中呼ばれる「悪霊」という言葉がピッタリするような傑作でした。
当然続編が作られ、主役のブルース・キャンベルは青年期の殆どをこの映画に捧げたと言っても良いでしょう。

なお「死霊のはらわたⅡ」は「死霊のはらわた」の続編ではなく、一種のリメイクで、アッシュが事件をはじめたことになっています。
特に第三作である「キャプテン・スーパーマーケット」の劇場公開版のラストは痺れるぐらい格好良かったです(残念ながらサム・ライミご本人はこの、映画会社の要請で撮らされたラストがえらく嫌いで、現在販売されているソフトは全て本来の『時そば』オチが使われてますが……)

で、それをテレビシリーズにするってことはどっちのオチを使うの? と思ってたらやっぱり劇場公開版のその後らしく。
最初の「死霊のはらわた」では結構純情で、恋人の言いなりに車を出したりと、あまりキャラもたってなかったアッシュですが、1作目のリメイクでもある2作目では事件をはじめるテープレコーダーのスイッチを「面白そうだ」と入れ、悪霊に取り憑かれた手首と格闘した挙げ句切り落とした辺りから「適当で直感で物事を決めてしまう&相手に負けるぐらいならどんな手段でも使う」というキャラが付属し、「キャプテンスーパーマーケット」では最終的に「適当でいい加減で自己中のナルシスト」というキャラが完成しました。

で、当然テレビシリーズもそういう設定です。何しろ物事を最初に悪化させたのは女の子をナンパしてマリファナ吸っていい気になった当人という……!
で、大抵のオカルト、ホラー系の映画をテレビにすると血糊の量はぐっと減るんですが……これは「いや、スプラッター映画の金字塔のテレビ化ですよ? 何言ってるんですか?」とでもスタッフが画面の向こうから語りかけてくるかのように、毎回最低でもドラム缶3本分は血糊がぶちまけられるような作品となっておりますので、苦手な方はご用心。
意外な役者さんが意外な役周りで出てきて無残に殺されたり、殺された後はしっかり死霊に操られて襲ってくるとか、しかも負けそうになると本人であるかのように装って逆襲しようとしたり、本来の映画版に残っていた要素はかっちり押さえております。
凄いなあと思うのはアッシュのその「デタラメでいい加減で自己中でナルシスト、基本考えるのは苦手で女好きで、めんどくさい事は撃ってから考える、しかもちゃんと何とかしてしまう強運の持ち主」というキャラクターのお陰で物語が始まり、回転し、納まるところに納まっていくという。
特にシーズン1の最終回なんて、アッシュ以外のキャラクターでは有り得ないラストです。
でシーズン2になると「それは無関係な一般市民から見ればサイコ野郎ってことだよね」という片鱗を見せ、アッシュにとって死霊=動く死体を切り刻むことが一種の日常で、死ねば死体もタダの物、もしくは悪霊の取り憑く器でしかない、ということをギャグとして見せていくわけで。
一応ドラマなので仲間も出来ますが、気弱で善良なパブロは叔父さんを殺されても一般市民的善良さをまだ「少しは」持ち合わせるものの、それ以外の仲間となる女性達は逞しく状況に対応し、最初こそ躊躇するものの、死にかけて何とか生き延びると、二度目からは遠慮無しに銃をぶっ放せる人間になっていくというあたりの「周囲の頻繁な人死にや、人が人の形をしたものを壊すことになれてしまう」という怖さもちらっと描いていて(見ている間は殆ど気付きませんが)、というのも見事だなあと思います。
シーズン2は評判になったのか意外な役者さんが出てきて、いい役を貰ったと思ったら無残に殺されたりとか、「死んだら死霊、いい人は頭が潰されて死霊にならない」を徹底しているのは偉いというか無茶というか……
吹替もテレビドラマ「バーン・ノーティス」以来ブルース・キャンベルのフィックス声優になった江原正士さんの声で喋るので、とんでもない格好ツケのロクデナシなのにどこか憎めないアッシュの魅力が爆発しております。

残念ながらアメリカではシーズン4でシリーズ終了が決定しちゃったそうですが、さてどんなオチをつけるのか(あるいは着けないのか)楽しみにしていたいと覆います。

個人的にはシーズン2に登場し、江原さんが「NHK教育のキャラクターのように」演じたこの「切り裂きアッシュ君」のマペットが実際ネカから販売されてるのでちょっと欲しくって……