さて、「リラム」の世界設定と構造の作り方の続きです。
とある友人が言ってくれたひと言を突き詰めていくことで、「リラム」の世界を成立させることはできました。
そして判ってみれば「なあんだ」でしたが、それを「神」と「王」がいない世界で成立させるためには、神と宗教以上と国家以上に強力なものが必要です。
私はそれを「経済」としました。
秩序は権威と権力で成り立ち、それが「神」と「宗教」と「王」でない以上、そこから「違う選択肢」として生み出されるであろう民主主義もまたそんなに簡単には生まれないでしょうから中世~近代世界にはなくて当然、と考えたのです(これには異論もあるでしょうが、今回私の作品ではそうした、ということで、これが正解ではありません)。
国は経済圏となり、王は決定する仕事を行う社長のような存在になり、彼らもまた会社の経営者よろしく「評価」される立場にあります。
ある意味それは既存のものの「置き換え」でありますが、単なる置き換えではなく、「置き換えた場合起こること」とそれを象徴する「もの」が必要になります。
さて剣と魔法の世界を象徴するものが魔法の杖と剣であるなら、この「経済」で回る世界を象徴するのはなんでしょう。
最初は天秤にしようと思いました。ですがそれは少しありふれているイメージがあります。
白黒でも判るものでなければシンボルにはなりえないので金貨も不可です。
…………では計算機はどうでしょう?
ファンタジー世界にしかあり得ないようなデザインのもの。
「魔法」は失われているのですが「魔法のような技術」は残っていますからこれはクリアできるだろうということで四苦八苦して思いついたのが、タイプライターのボール型打刻装置から思いついた「計算球(レドゥラ)」でした。
ありとあらゆるものの「経費」を計算し続ける装置…………そしてあとはそれが存在する以上現れるであろう世界をデザインする段階になりました。
そこでは人はどう生活し、どういうことが恥で、どういうことが名誉なのか。
計算球に操られる世界だとオーバーテクノロジーが過ぎます、最後はやはり人が査定を下す世界が良いでしょう、でも彼らの権威は何が保障するのか……とかあれこれ思いつきをメモ書きしていくうちに、「ベーシックインカムではなく、国民全員が社員の世界」という別の友人が口にした言葉を思い出しました。
ファンタジーですからそんな世界もあっていいはずです。
そして一週間ぐらいドタバタして、今回の世界が生まれました。
世界で起きる事件はすでに作られています。ではその世界においてこの事件が何故起きるかを明確にしなくてはいけません。
そして、おこった事件の波紋はどういう形で広がっていくのか、あるいは封じ込められるのか。
そんなわけで地図を作りました。
物語の舞台になる場所の距離や構造(A地点からB地点までの移動に掛かる時間や、とある家の一階の何処に階段があって、二階にあがると最初に○○と××の部屋があって、奥に大広間がある、程度のもの)を示した文字だけのメモまがいから、色々線を引っ張って作り上げた「世界地図」まで。
特に今回は経済的原因から起こる「スパイ物」ですから距離と位置関係は大事です…………ですからドタバタとこういうものを作りました。
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こんなマウスとペインターで引っ張ったグダグダな地図を、デザイナーの方がちゃんと下にあるような「本物の異世界の地図」に変えて下さったのは「プロの技」を見せて貰った思いでした。
(※なおこの地図は面積と位置関係がメインのもので、実際の大陸間の距離はもっとあり、特に北方辺境はもっと北にあります、念の為)
