日本の薬局で抗生物質が買えるようになったのは(買えたのは)いつか

以前、とあるドラマで第二次大戦開戦の少し前(昭和15年前後)、子供が肺炎か何かで生きるか死ぬかの状況になって、必死の思いであちこち駆け回ると「新しい万能薬がアルヨ」ということで大金はたいてその薬を買ってきてそれを投与したら劇的に治って、それが当時開発されたばかりの抗生物質だった、という話があって、当時知り合いだった考証マニアの人が「あの時代に抗生物質があるか、日本にペニシリンが来たのは第二次大戦後だ!」と騒いだことありまして。
ただそれは実話を元にした話で、どういうことなんだろうと疑問に思っていたのを不意に思い出してあれこれ調べてみたら、抗生物質として有名なペニシリンが大量生産されて民間に広まったのは確かに第二次大戦後なんですが、抗生物質と同じ働きをする(厳密には抗生物質は微生物から培養されたもののみの名称らしいので)、サルファ剤という薬品がありまして。今でも尿路感染や前立腺炎の治療などで使われるそうです。
初期のペニシリン同様、薬効にはムラがあったそうですが、特に肺炎には良く効いたそうです。
で、これの製造開始が1935年(昭和10年)ですから、5年後ぐらいからなら確かに日本国内でも(大きな店を構えるような薬局だったら)入手可能な薬品であります(当時はドイツ語読みでズルフォン、あるいは中途半端な英語発音なのかスルファ剤とも呼んでいたそうで)。

で、薬効的には抗生物質と変わらない殺菌効果があるので、医者じゃない当時の民間人の口からごっちゃになって出てくるのは自然な話なワケで、あのドラマの描写は間違ってなかった、ということになります。

ここ数十年その交渉マニアのヒトのいうことを鵜呑みにしてたんですが、世の中ちゃんと調べないといかんですね。

ちなみにペニシリンを軍人以外の民間で最初に投与されたのは当時アルカトラズに脱税で収監されて梅毒を患ってたギャングの大親分、アル・カポネ、サルファ剤で命を取り留めた有名人の筆頭は第二次大戦時の英国首相、チャーチルだそうです。