ジェシカ・ジョーンズ面白いですよ?

Netflixは動画配信サイトで、そこの目玉が「完全オリジナルコンテンツ」として「アイアンマン」「キャプテン・アメリカ」そして「アヴェンジャーズ」と同じ世界観で動くスーパーヒーロー、ヒロインものの番組があることでした。

その第一弾が「デアデビル」。「アヴェンジャーズ」のチタウリとの決戦が終わって半年後のNY、ヘルズキッチンを舞台に、昼は盲目の若手弁護士、夜は仕置人めいた自警団ヒーロー、デアデビルと街の再開発に乗じて全ての実験を握ろうとするネルソン・フィスクことキングピンや、彼が投獄された後に覇権を巡って争う暗黒街の住人たちと、それを片っ端から殺しまくるアンチヒーロー、パニッシャーとの戦いを描く作品は、本当に同じマーヴェル世界なのかと思う程地味で、ハードで、下町人情とそれを踏みにじる人の屑の群れを描いていた……わけですが、辛うじてデアデビルがコスチュームを身に纏うこと(特にシーズン1のラストではコミックでお馴染みのあの紅い悪魔のようなコスチュームに!)で何とかアメコミヒーローらしさを漂わせていたとしたら、まるっきりそれをもたない私立探偵の元スーパーヒロインが主役、というのがこの「ジェシカ・ジョーンズ」。

美人なのにいつもふて腐れたような不機嫌そのものの表情で、ぶっきらぼうで不躾け、口が悪くてアル中気味、という怪力(といっても派手な使い方は無く、せいぜい南京錠を引きちぎったり、車の後輪を持ち上げたり、男をぶん投げる程度)と跳躍力(数回しか使いませんが)以外は銃弾やナイフで傷つく(多少怪我の治りが早いという設定なのであまり大騒ぎにはなりませんが……)ヒロインの活躍は正に正当派ハードボイルド、

浮気調査などが主な仕事で、物語の開始早々、逆ギレした依頼人と喧嘩になって事務所のドアを壊されるも、金が無くて修理も出来ないくせに、酒だけは必ずどこかにあるというダメっぷり。

C・アン・モスの超やり手な女弁護士は彼女の主なクライアントながら「勝つためには弁護相手さえ騙す」ような腹黒で、ジェシカの事務所のあるアパートの隣はヤク中、上はシスコンな姉弟、おまけにジェシカは行きずりのバーの店主と…………というような、主役からサブまでどっちを見ても人の屑と人生の落伍者ばっかり(一名除く)という冒頭は本当に「女には向かない職業」の現代版なんですが、これが次第に「裏」を見せていく構成がなのが面白い。

行きずりにベッドを共にしたバーの亭主は実は鋼の皮膚を持つ超人ルーク・ケイジで、やり手女弁護士は同性婚した相手をあっさり棄てて若い秘書に走り、ジェシカ自身もそこまでやさぐれたのは、実は…………というところからじわじわと。

ジェシカ役のクリステン・リッターの美しさと、その中にほのかに見える病的な弱さ、その中から立ち上がろうもがいて、だから必死になって時には他人を傷つけては自己嫌悪に陥るというキャラクターと、子供の頃天涯孤独になったジェシカを、イメージアップのためにとステージママが養女に迎えたことから「血の繋がらない姉妹」になった元名子役で今は有名DJのトリッシュを演じるレイチェル・テイラーの生真面目な美貌が美味く物語に花を添えてますが、今回何よりも出色なのは敵役であるパープルマンことキルグレイブを演じていた「ドクター・フー」10代目ドクターのデヴィッド・テナント。

彼がドクターではなくその宿敵マスターを演じたらこうなってたのかな、というぐらい陰湿で自意識過剰で誇大妄想な夜郎自大なキャラクターを時にキュートに、そしていやみったらしく演じております。

「命令すれば誰でも言いなりになる(死を命じることも可能)」という厄介かつ使いどころ無限大な能力をもったこの敵がいるからこそ、ジェシカのキャラが立つというか、デアデビルのように「勝てる」ように見えないのがまたリアル。

お話のテーマは「支配」と「そこからの解放」なので、キルグレイブよりもたちの悪い「人の心を操る」あるいは「支配欲の塊」という人物達も出てくる上、どの登場人物達のもつ事情が絡み合って、最後まで物語を動かして行く要素になっていくのがいいです。

とはいえ「デアデビル」と同じご町内ですよ、ということで同時進行していたS2から、看護士のクレアとパニッシャーに因縁のあるレイエス検事が登場。
特にクレアはルークとジェシカを助け、「あたしの知り合いに役に立ちそうな人がいるけれど呼ぶ?」と訊ねる場面もあり、さらにジェシカとの関係で悩んでいるとあるキャラクターの相談相手というかアドバイスをする役周りまで演じております。

(※ちなみにデアデビルでは最終回、C・アン・モスの演じる女弁護士が登場、フォギーを自分の事務所へとヘッドハンティングします)

時間軸的には「デアデビル」シーズン2の10話手前ぐらいなんですかね。だとしたら「アヴェンジャーズ2」の数ヶ月前、「エージェント・オブ・シールド」のS1の終わり「キャプテン・アメリカ・ウィンターソルジャー」の手前ぐらいでしょうか(それならシールド内部は色々シッチャカめっちゃかなので、この事件に彼らが出張ってこない理由付けにはなります)。

さて、ジェシカ・ジョーンズは無事シーズン2の制作が決まり、「ルーク・ケイジ」は9月から単独主演作が放送開始と言うことで楽しみです。ジェシカは当然出てくるでしょうが、パニッシャーはともかく、デアデビルと同じフレームに納まるんでしょうかね、ちょっと今は想像が付きませんが(笑)

できれば映画シリーズはともかく、「エージェント・オブ・シールド」と一回ぐらいはコラボしてほしいもんですが……。