気前が良くて二枚目で

中村梅之助さんが1月18日に亡くなられていたという報道が昨日(1/20)出ました。
享年85。

父親が好きな役者さんで、子供の頃、初めてぱっと画面に移った姿を見たときは丸顔で愛嬌のある顔立ちの人なので、「二枚目」というと里見浩太朗とかの細面の固定イメージがあった私には、この人は三枚目なのかしら、と思っていたら仕草や口調でなるほどこれは「いい男」なのだ、と納得したのを覚えています。

主題歌では「気前が良くて二枚目でちょいとやくざな遠山桜」と歌われてましたが、あまり「やくざ」な部分はなく、スマートで粋でいなせな遠山様でした(後の伝七捕物帖で一人二役で出てきたときは唖然としましたが、これもまた後述するお客=視聴者の喜ぶ事を、という意志の表れでしょう)。

必殺シリーズの妙な影響を受けてしまった達磨大介はともかく、やっぱり金さんと伝七親分は永遠キャスティングでしょうね。

数年前「伝七捕物帖」の再放送をCSでやるときにインタビューを受け、「ヨヨイヨイヨヨヨイ、ヨヨヨイヨイ、めでてぇな!」がどうして出来たか、という話になったとき

「遠山の金さんは『これにて一件落着!』でお客さん(視聴者)を現実に戻すけど、岡っ引きの伝七は何がいい? ということでオヤジ(中村翫右衛門)が四谷怪談の蝙蝠安のしぐさから思いついたんだけどね、あれがウケすぎちゃって、蝙蝠安を舞台でやってるとクスクス笑われるって文句が来たよ」

と笑い、劇中で伝七親分が使う鎖術の免許皆伝を持っていることに関しても「まあ、テレビで鎖術を広めてくれたと言うことで、研修は受けましたけれども名誉勲章みたいなものなんですよ」と謙遜した姿が印象的でした。
そしてもう一つ、ドスの利いたナレーションも魅力的で、仕事人以後の必殺がOPだけは今でも好きなのは梅之助さんと芥川さんのナレーションの力が大きいです。

「遠山の金さん捕物帖」では親父さんの中村翫右衛門さんがセミレギュラーみたいな小悪党の坊主役で出ていて、楽しそうに親子掛け合いをしてらっしゃいましたが、後年NHKの「真田太平記」では今度は家康を演じる梅之助さんと、息子の梅雀さんが秀忠を演じていて、個人的にはTBSの「関ヶ原」の森繁久彌に並ぶ家康、だと思っております(これは気弱で不出来なことを自覚してコンプレックスになっている鬱屈した秀忠を演じた梅雀さんの力でもありますが)。

それにしてももうひとつの代表作「花神」が総集編をのぞき、再び全話揃わないまま逝かれてしまったのは残念です。これを期に全て揃うことがあればよいのですが……。

黙祷。