龍炎狼牙さんの新刊が出てます

物事を初めて10年はどんな形であれ人は成長するものですが、20年を越えてもなお成長するにはどれだけの修練を積み、心配りをし、自分自身を客観視し、その上で正しい方向を決めて動けるか、ということになります。

10年を越えてくると「努力する才能」というのも必要になるということでしょうか。

人はいずれ年老いていきますし、新鮮な驚きもやがては慣れていきます。

最前線に立っている人たちというのはそこを越えてなお、気を抜かずに(そしてごく当たり前のように)努力を続けるという能力を持った人たちです。

そんな人たちの中で幸運にも一番最初に我々が出会い、以後も長くお付き合いさせてもらっているのが龍炎狼牙さんです。

デビュー作「とらぶるEVOCATION」は当初こそお気楽な「押しかけ女房コメディ」で始まりましたが、最後の辺りではシリアスな展開やこの手の作品では「その他大勢」にしか過ぎない脇キャラにもスポットを当てる展開を見せて「おお!」と読者を唸らせ、次いで始まった「魔討奇譚・斬奸ZANKAN!」は超伝奇世界における群像劇を、堂々と4年の長さをかけて描ききりました(ささやかながら中笈木六もノベライズ版を書かせてもらい、その世界の手助けをさせていただいたのは光栄でした)。

その後も「魂の鎖」では「墜ちていく魂とその救済」を描き、「アルケミラの滴」ではほのぼのとしたファンタジー世界の中の人間関係の変化を描き、「ムクロヒメ」では「自死を望むほどの孤独な魂の救済」を描いていきました。

神野オキナにも「うらにわのかみさま」「星魔の砦」という二作品で挿絵を提供してもらいました。
そして「にょたいかっ!」ではそれまでの「若者」の世界にくわえ「大人」の社会と心のあり方を描くというステップアップをしてみせて、読者として「うわ、この人、何処まで行くんだろう?」と感動したのを覚えています。

龍炎さんの作品内の視点はいつも優しいですが、単純に甘ったるい優しさではなく、そうではない冷たい影や、優しさにたどり着けない人々の葛藤や断絶も描いています。

で、その同人誌活動におけるオリジナル最新作が「騎士団長、陥落ス」の2巻です。

王女を守る為に精悍無比な騎士団長が性転換魔法で王女そっくりの姿になって……というTS物の一種、典型とでも言うべき「これが……俺(僕)?}で始まる話ながら、1巻では友情と恋の板挟みとすれ違いなどをしっかり描き、2巻では「嬉し恥ずかしビキニアーマー装着」という鉄板ネタを中心にしながらも、「代用品を通しての恋慕」をしっかり描いていて、読み応えがあります。
ちょっとした小さなコマや、キャラの仕草に色々と「読み取れる」ものが一杯あるので、読み返すたび新しい発見がある、龍炎作品ならではの楽しみ方も健在です。

今商業連載がないのは残念ですが、いずれまたこれほどの人が呼ばれぬわけはないので、期待しつつ、まずは声援代わりに売り上げに貢献しましょう、というわけでして…………(笑)

とらのあな

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